愛をください。3 (ページ33)

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112.目的ページ33

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A「……後で、ちゃんと返すから。」

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そう言うと

安心したようなため息が

電話口に聞こえた

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あなたの結婚指輪を

私が持ってるのを見たら

美和はどう思うのかな

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想像すると可笑しくて

零れそうになる笑い声を

必死にこらえた

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翔『余計なことしないでくれよ？』

A「ちょっとイタズラしただけじゃない。」

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翔『困るから。』

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A「………ごめん、ね？」

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翔『全く……。』

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A「わたし、もう出かけなきゃいけないから。」

翔『あぁ……悪かったな、朝っぱらから。』

A「案外、心配性なのね？」

翔『当然だろ……。』

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そう言って

電話は切れた

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嘘でも

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ごめんね？

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そう言っておけば

大概の男は許してくれる

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今までずっとそうだったんだから

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光の切れた無音の電話

それを誰もいないソファの上に放り投げた

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私は

何をしたいんだろう

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美和から彼を奪っても

雅紀の気持ちが手に入るわけじゃないのに

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憎らしい美和の幸せを壊しても

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私が幸せになれるわけじゃないのに

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分からなくなってきた自分の目的に

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深くため息が落ちた

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