愛をください。3 (ページ31)

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110.Far away ページ31

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簡単に朝食を用意して

雅紀と向かい合ってテーブルに座った

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雅紀「A……まだ顔色悪いよ？」

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A「……そう？」

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寝てない体は

そのまま顔色の悪さに影響しているようで

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箸を止めた雅紀が

テーブルの端に置いた薬の袋に目をやる

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雅紀「ちゃんと薬飲めよ？」

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A「………分かってる。」

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『心配されてるうちが華じゃない？』

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薫の言葉が

一瞬

頭の中を過ぎた

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本当に心配しているのか

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それとも

ただの体裁なのか

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雅紀の表情からは

それさえも

見えない

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雅紀「じゃあ……俺、先出るから。」

A「うん、行ってらっしゃい。」

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雅紀「体調悪いんだったら、会社休んで寝てろよ？」

A「大丈夫だから！人のこと、病人みたいに言わないでよね……。」

雅紀「なら、いいけど。」

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玄関先で靴を履く雅紀が

チラと私を見上げた

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雅紀「俺さ……Aが辛そうにしてんの、見てらんねーんだ……。」

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A「………え？」

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雅紀「だから………いや、いいや。その話は。とにかく薬、忘れんなよ？」

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A「………わかった。」

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ニッと笑って「じゃ。」と片手を上げて

雅紀は部屋を出て行った

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意味深な言葉だけを残して

静かにドアが閉まる

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貧血が辛いなんて感じたこともないのに

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むしろ辛いのは

二人の関係

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私は

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愛されている自信がない

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