愛をください。3 (ページ26)

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105.役者ページ26

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同じ場所で待ち合わせて

同じホテルの部屋に入る

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部屋番号さえ同じなのは

たぶん

彼が指定したせい

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一度訪れた場所には

警戒心さえ薄れていて

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どうせすることは一つなのだと

自暴自棄になっていたりした

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翔「俺、役者だろ？」

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勢いよくソファに体を落として

煙草に火を点ける

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大きく吐き出された煙をよけて

彼の隣に座った

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役者、と言うよりも

二重人格

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オモテの顔と

ウラの顔

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A「あんなこと……しないで。」

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翔「楽しかったよ、Aの動揺してる顔見てるの。」

A「………。」

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翔「どんだけ普段、貞淑な女演じてんの？」

A「………。」

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翔「こんだけやらしい体してんのにさ？」

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A「……もう、あの店には来ないで？」

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翔「薫さんさ……完全に俺狙いなのな。見てて分かっちゃったよ。」

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一人笑いながら話す彼は

いつもよりご機嫌で

私の声なんて

聞こえていないように

話し続ける

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翔「Aとこんな関係なのにさ。知らないって、ある意味……幸せだよね？」

A「………。」

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指先の煙草をぎゅっと灰皿に押し付けて

私の肩を抱く

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近づいた唇を拒むこともなく受け入れたのは

ただ二人の関係が

美和への嫉妬心から始まったものだと

気づかれたく無かったから

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心を無くして

彼を受け入れればいいだけの話

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