愛をください。3 (ページ18)

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97.『天国に一番近い場所』-3 ページ18

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雅紀『はい。』

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目の前に

大きな手のひらが差し出されて

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それに

ぎこちなく指先を絡めた

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雅紀『冷てーなぁ……Aの手。』

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A『……うん。雅紀の手は、あったかい。』

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包むようにぎゅっと握って

体を寄せる

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雅紀『なんか……逆に恥ずかしいね？こんな風にするの。』

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指先にはちゃんと雅紀の込めた力も伝わってきて

胸の中を

切なさがぎゅうぎゅうと押し込んでくる

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A『……わたしは……嬉しい。』

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雅紀『そんなもんなの？もっと濃ゆいことしてんのに。』

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A『……いいの、これで。』

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変なこと

言ったつもりはないけれど

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雅紀『変なの。』

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そう言って

また、くしゃっと笑った

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その目には煌めく夜景の光が映り込んで

ガラス玉みたいにキラキラ輝く

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二人の関係に純粋なものなんて

何もないはずなのに

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今だけでも

そんな時間を過ごしたくて

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A『雅紀……、もいっこ……いい？』

雅紀『なに？』

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A『キスしたい。』

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雅紀『どしたの、そんなピュアなことばっか言い出して……。』

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A『………うん。』

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本当はもっと恋人同士らしいことも

いっぱいしたいのに

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私には

それが許されない

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二番目の女は

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何をするにも

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周りの目を気にしてなくちゃいけないんだから

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