愛をください。3 (ページ17)

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96.『天国に一番近い場所』-2 ページ17

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A『外出ても……いい？』

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雅紀『いいよ？』

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車から降りると

冷たい秋風がビュウと吹きつけて

一気に体温を奪っていく

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雅紀『ちょっと、寒くね？』

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へらっと笑って雅紀が目を細める

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A『うん。寒いけど、二人で外出るのなんて……初めてだから。』

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結局は

連れてきてもらえる場所なら

どこでも嬉しくて

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暑くても

寒くても

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雅紀と一緒ならどこでもよかった

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二人してボンネットに寄りかかって

目の前のパノラマを

ただぼんやり眺める

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それだけなのに

やけにドキドキしてる私がいて

気づかれないように

何度もその横顔を盗み見ていた

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A『雅紀……。いっこ……したいことがあるの。』

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雅紀『……なに？』

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A『手つなぎたい。』

雅紀『えぇ？』

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驚いたような顔をして

私の方を向く

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A『だって……今まで手つないだこと、ないから。』

雅紀『そう言われれば……そうだね？
Aのことだから、ここでえっちしたいって言うのかと思った！』

A『もう……いつもそんなコト考えてるわけじゃないから！』

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答えると

くしゃっと笑顔を見せて

ひゃっと喉の奥で笑った

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雅紀『そのためにさ……会ってたようなもんだったしね……？』

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A『………うん。』

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欲しいと

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ただそれだけで始めた関係

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それが今は

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会う度に想いばかりが膨らむ

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