愛をください。3 (ページ16)

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95.『天国に一番近い場所』-1 ページ16

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A『どこ……連れてってくれるの？』

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雅紀『ん？誰も知らない場所。』

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A『なにそれ？天国？』

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雅紀『それもいいかもね。』

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初めて雅紀とホテル以外で会ったのは

出会ってから既に

半年以上の月日が経過してからだった

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呼び出されたのは

日没後

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どこに行くのかも分からないまま

雅紀の運転する車に

乗り込んだ

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隣にいるだけで

一緒にいるだけで

いいと思っていたはずなのに

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会うと独り占めしたいと思うようになって

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電話も

メールも

頻繁に出来ないカンケイは

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私の中の切なさを募らせるばかりだった

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静かに流れる音楽に合わせて

雅紀の指先がリズムを刻む

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その指先も

運転席の横顔も

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そして

二人で過ごす以外の時間も

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全部全部

私だけのものに出来たらいいのに

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着いた場所は

本当に何も無い場所で

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車が数台停まれるスペースの向こうには

煌びやかな夜景が広がっていた

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雅紀『ここさ……案外、穴場だと思わない？』

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得意気な顔して

ニッと笑う

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A『思う……誰もいないもんね……。』

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雅紀『二人だけの場所。何してたって、誰にも気兼ねする必要もないんだ。』

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雅紀が一番気にしていたこと

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知り合いに見られたら面倒だから

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それがここには無い

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A『聞いてもいい？』

雅紀『なに？』

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A『彼女とも、ここ来た……の？』

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雅紀『まさか。だってあいつとそんな事する必要、ないでしょ？』

A『…………。』

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雅紀『ここは、Aと二人だけの場所。』

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そう言って

深くシートに体を埋めて

イタズラな顔を見せた

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