愛をください。3 (ページ1)

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80.手っ取り早い方法ページ1

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ブルブルと

テーブルの上で携帯電話が震える

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点滅するライトの中に

『櫻井翔子』の名前が流れる

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今さっき

切ったばかりなのに

あえてまた

かけてくるなんて

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A「ごめん、ちょっと……。」

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食事中にもかかわらず

携帯を握りしめて

化粧室へ向かう

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相手は

美和なのか

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それとも

櫻井さんなのか

分からないままその電話を耳に充てた

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翔『どうしたの？電話なんてかけてきて。発信じゃなく、着信履歴に名前が残ってたから……。』

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静かな低い声が

耳に届く

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美和じゃないことに安心して

大きく胸をなで下ろした

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A「確認……したいことがあっただけ……。」

翔『確認？』

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A「あなたが今どこにいるのか。」

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翔『なにそれ、そんなに俺のこと気になる？』

A「……そう、気になって……頭から離れないの。」

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偶然

こんな所で会いたくない

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美和にはもちろん

薫に知られることさえ

避けておきたいから

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翔『そんなに気にされてるなんて、光栄ですよ。』

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わざとらしい乾いた笑いが

電話越しに聞こえた

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翔『で？次、時間いつ取れる？』

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その言葉に

背中に冷たいものが走った

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次に会ったら

今度はもう

逃げることは許されない

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美和から彼を奪うのは

カラダの関係を作ることが

一番手っ取り早い方法

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