愛をください。2 (ページ10)

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50.唇ページ10

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唇から感じる煙草の味は

出会った頃から変わらない

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深く合わせれば

変わってしまった二人の関係が取り戻せるような気がして

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また

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幸せだった頃に戻れるような気がして

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心の片隅では

有り得ないって分かっているのに

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くだらない幻想に

取り憑かれてる

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呼吸もままならないほど

強く抱きついて

唇を貪るのに

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反比例するように

雅紀の力に体が引き離された

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雅紀「A……なんか、あったの？」

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私の唇はまだ足りないって言ってるのに

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雅紀の唇は

別の言葉を放つ

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唾液で濡れた唇を手の甲で拭って

間近い雅紀を

睨むように見つめた

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A「なにも……ないけど？」

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見透かされるような瞳に堪えきれず

視線を逸らした

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雅紀「嘘。」

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A「嘘じゃな……。」

雅紀「淋しいって……言ってる。」

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A「なにそれ？淋しいなんて一言も……。」

雅紀「目が、言ってるよ。それに、なんかあると、こんなことするよね？」

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雅紀の言葉に

首に絡めた腕をゆっくりと解いた

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