愛をください。2 (ページ36)

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76.回避法ページ36

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薫「A？どうしたの、ぼーっとして。」

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A「………薫……。」

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昼休みにランチを誘いにきた薫が

私の顔の前でヒラヒラと手のひらをかざす

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薫「どしたの？また、具合でも悪いの？」

A「ううん、なんでもない！ちょっと、考えごとしてただけ。」

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無理して笑顔を作って

自分のデスクを立った

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頭の中で

色んなことが渦巻いていて

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雅紀のこと

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櫻井さんのこと

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そして美和のこと

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何をしていても

その破片が散らばっていて

まとまることはない

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薫「今日もあのカフェ行こうよ！」

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A「………え？」

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薫「だって……せめてもう一度、あの彼に会いたいもん！」

A「………。」

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断れない私は

ただ薫に着いて

重い足を引きずる

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A「薫……、ちょっと先行っててくれる？」

薫「ん？」

A「すぐに私も行くから。」

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薫「うん……いいけど？」

A「ごめんね？ほんと、すぐ行くから、席取っておいて？」

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薫「分かった。早くね？一人だと心細いから……。」

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こんな簡単なこと

何で気づかなかったんだろう

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偶然、櫻井さんとあの店で会う確率なんて

わずかなものなのに

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それさえも回避できる方法は

自分の手の中にあった

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『櫻井翔子』

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携帯電話からその番号を探して

繋ぐ

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彼が今どこにいるのか

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直接、確認すればいいだけのこと

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