愛をください。2 (ページ31)

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71.惨めな自分の残像ページ31

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A「じゃあね？潤。気をつけてね？」

潤「おぅ。」

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アパートの前まで潤に送ってもらって

Ｕターンする車の後ろ姿を見送った

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既に日付も替わりそうな時間なのに

ちゃんとアパートまで送り届けてくれるのは

家にいる私を邪魔者扱いしてるからなのか

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それとも雅紀との関係を心配してくれてるからなのか

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後者であることを願いたいけれど

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自分の部屋を見上げると

窓からは灯りが洩れていて

雅紀がまだ起きていることを知る

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遅くに帰る私に

たぶん何も言わない

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普通の恋人同士なら

連絡さえもしないことを

とがめられるのだろうけど

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A「………ただいま。」

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小さく呟いて

部屋の中へ入る

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ソファの背中から振り返って

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遅くなるなら遅くなるって連絡ぐらいできねーの？

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少しでも怒ってくれる雅紀を想像してみるけど

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照明は点けっぱなしなのに

その雅紀の姿さえリビングにはない

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………寝ちゃった……かな

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寝室を覗くと

背中を向けて眠る雅紀が見えて

静かに

またそのドアを閉めた

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虚しい感情だけが残る

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怒ってくれるなら

せめて

少しでも私のことを

気にしてくれてるって思うこともできるのに

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バカなことばかりしてる私に

一言でも怒鳴ってくれたなら

私を見てくれているって実感できるのに

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他の男に抱かれようとしてまで

自分の中のプライドを守ろうとして

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そんなの意味無いって

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惨めだって

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頭の隅では分かっているのに

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美和に負けたくない思いが

それよりも勝っていて

自分を見失いそうになる

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もしかしたら

もう

見失ってるのかも知れない

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雅紀のことは好きなのに

他の男を誘えるほど

貞淑な女じゃいられなくなっている

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私の何かが

壊れかけてる

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自分が

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自分で分からなくなってきている

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