愛をください。2 (ページ24)

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64.Wild wind blows ページ24

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手のひらが

肌をなぞる

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ベルトの金属音が

耳の奥に聞こえた

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とき

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けたたましく鳴り出した着信に

逃げ出した現実へと引き戻された

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翔「………はい、もしもし？」

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低い

不機嫌そうな声が車内に響く

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翔「……え？クレーム？何で今頃……。」

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繋がった携帯からは

男の焦る声ばかりが聞こえていて

何かの説明を必死にしているのが分かる

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翔「分かった……すぐ戻るから。君はそこで待機してなさい。」

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プツリと切れた携帯に舌打ちをして

それを後部座席に放り投げた

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翔「タイムアップ。すぐ社に戻らなきゃいけなくなった。」

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上に覆っていた体が

ヒラリと運転席へ戻る

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半裸の体に慌てて下着を直して

ブラウスのボタンを掛けた

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翔「次は、もっといい服を買ってあげるよ。脱がせ甲斐のあるやつを……ね？」

A「………。」

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翔「近いの？ここから実家。」

A「…はい。」

翔「じゃあ、近くで降ろすから、教えてもらえる？」

A「いえ、ここで大丈夫です。」

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翔「ちょ……！Aさん？」

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引き止めるのも無視して

彼の車を降りた

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冷たい秋の風が

体を包んで吹き抜ける

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夜道を夢中で急ぎ足で歩いて

転びそうになりながらも

ひたすらに歩く

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静かな住宅街にはヒールの音だけが響いて

振り向くこともなく

実家へ足を向けた

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