愛をください。2 (ページ17)

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57.Scenario ページ17

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ふと

ひとつ気がかりなことが

頭の中をかすめた

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A「翔さん……。今日私と会うこと、美和には話してませんよね？」

翔「え？えぇ。何も話していません。」

A「そう、なら良かった。実は先日、翔さんの携帯から美和が電話してきたから。
てっきり話しちゃったのかなって、思ったんです。」

翔「あ～～～……あの時は美和に強引に頼まれて。Aさんの番号教えてくれって。
言い忘れたことがあるからって……。携帯番号なんて個人情報ですしね？
いくら夫婦でも本人の許可無く共有するのはどうかと思って、僕の携帯から電話させたんです。」

A「そう、だったんですか。」

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翔「大丈夫ですよ？今日のことは美和には何も話してませんから。」

A「少し、心配してたんです。せっかくのサプライズなのに……って。」

翔「大丈夫。」

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彼は何度もその言葉を口にする

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やっぱり

無邪気なふりして

イヤミの込めた電話は

気のせいだけじゃなかったんだ

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憎らしい女

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今の私には

そんな感情しか

残されていない

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A「今日はありがとうございました。」

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店を出てぺこりと彼に頭を下げる

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翔「大してお役にも立てませんでしたが。」

A「そんなこと無いですよ？少しでも、翔さんとお話できて楽しかったです。」

翔「え？」

A「いえっ！なんでも、ないです。」

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口が滑ったふりして

慌てて唇を押さえた

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翔「Aさんにそう言ってもらえて、光栄ですよ？
今日は、お宅まで送って行きますから。車、持ってきますから、ここで待ってて下さい。」

A「はい……ありがとうございます。」

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彼はそのまま隣の駐車場へと消えていった

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ここまでは、シナリオ通り

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『送ります。』

そう言うのも予想の範囲内だった

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問題は

これから

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彼が

どんな反応を示すか

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例え否定的な態度であっても

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私は

諦めるつもりはない

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彼を美和から

奪うまでは

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