36.Platinum ring ページ36
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店員から渡されたショップの紙袋を
得意げに小さく開いて見せた
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翔「Aさんに、プレゼントです。ついでだから、ラッピングもしてもらいました。」
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チラリと紙袋の中を覗くと
赤いリボンのかけられた箱
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A「ありがとう、ございます。」
翔「どうぞ、受け取って下さい。」
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そう言って、私に手渡す
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全て、上手くいったと
その時は思ったのに
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彼の左の薬指に
キラリと光るリングを見つけた
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A「翔、さん……結婚……してたんですか？」
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私の視線が薬指にあることに気づき
恥ずかしそうに
それを隠す
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翔「これ、ね？最近なんです。」
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照れ笑いをする彼に
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幸せを見せつける彼に
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何故だか苛立ちが生まれる
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A「……幸せ、ですか？」
翔「え？」
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A「結婚して、幸せだって……思いますか？」
翔「Aさん？」
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A「私、結婚だけが幸せだと……思えないんです。」
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翔「………。」
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あの日
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同窓会の日
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雅紀に言われた言葉を
そのまま彼に投げつけていた
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嫌な自分が
顔を出し始める
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翔「……どうか、したんですか？」
A「いえっ！あのっ……何でも、ないです。」
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我に返って取り繕ってみても
彼は不審げに
眉を寄せたまま
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A「ごめんなさい、変なこと口走って！ちょっと、疲れてるのかも……。」
翔「そう、ですか？」
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これ以上ないってぐらいの笑顔を
彼に向けて
渡された紙袋を胸に抱えた
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余計なこと
言うんじゃなかった……
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まさか彼が結婚してるなんて思ってなかったから
動揺と、焦りと
隠せないままの自分がそこにいて
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さっきまでは無かった
不信感だらけの目が私に向けられる
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ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：四葉（よつば）
| 作成日時：2012年9月2日 22時
