愛をください。 (ページ33)

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33.Desire ページ33

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テーブルに置かれたコーヒーを眺めるふりして

正面に座る彼を眺める

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見れば見るほど

整った顔立ちで

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薫が欲しいと言った理由も

分かる気がした

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連れて歩くには

最高の男かも知れない

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中身がどうであれ

見た目だけなら

誰にでもうらやましがられるかも知れない

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違うな

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彼には

代表取締役という

肩書きもある

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顔と

時間と

お金と

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他の女が欲しがるものを

全部彼は持ってる

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翔「……あの？なにか？」

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A「いえっ！何でもない……ですっ！」

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視線に気づかれてぶつかった視線

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こっそり観察してる

なんて

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いやしい女そのもの

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翔「もしかして、コーヒー苦手……ですか？」

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A「え？」

翔「全然進んでないみたいだから。」

A「そんなこと、ないです。猫舌なだけ……ですから。」」

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翔「猫舌……ね？」

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ふっと笑って私を見つめる

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翔「Aさんは、猫みたいに見えますよ？」

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それは、褒め言葉なのか

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それとも

猫の持つズル賢さを意味しているのか

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後者であることは考えづらいけれど

考えを見透かされないよう

警戒心から

そんなことまで考えてしまう

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翔「あの……気を悪くされましたか？」

A「いえっ！そんなことないです。猫みたい……は、褒め言葉に取って大丈夫ですよね？」

翔「そうです。可愛らしい猫、そんな意味合いで言いました。」

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ほら……ね？

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腹黒い……なんて意味の猫を

出会っていくらもしない女に

言うはずがない

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翔「そろそろ、出ましょうか？」

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白いカップも空になる頃

彼は煙草を胸にしまって

腰を上げた

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A「ごちそうさま、でした。」

翔「いえ、これぐらいは……。」

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はにかむ笑顔は

やっぱり子供みたいに見える

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