愛をください。 (ページ29)

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29.嘘ページ29

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雅紀「ねぇ、A。週末……どっか出かけようか？」

A「……週末？どうしたの、急に……。」

雅紀「いや……たまにはさ、どうかなって思って？」

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缶ビールを傾けて

クンと喉が鳴る

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週末はあの人に

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櫻井さんに会う

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雅紀を取るか

櫻井さんを取るか

それが頭の中で一瞬にして巡った

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A「ごめん！週末……予定入れちゃった！
薫と……出かけるって……洋服でも、見てこようかなって……。」

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雅紀「薫……さん、ね？じゃあ、しょうがないか……。」

A「うん、ごめんね？」

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ほんの少し

雅紀の顔が淋しそうに見えたのは

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きっと気のせい

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私が断ったからって

そんな顔するなんて

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思えない

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A「わたし、ご飯作っちゃうね？」

雅紀「うん、俺も……腹減ってきちゃった。」

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A「もうちょっと、待ってて？」

雅紀「……うん。」

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雅紀の掛けてたタオルを洗濯機に放って

途中にしたままの料理を続ける

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チラリとキッチンカウンターから雅紀の横顔を盗み見て

胸の奥がチクチクと痛んでいた

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嘘を

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ついた

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罪悪感が

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また、生まれる

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でも、それが

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まだ私が雅紀を好きでいるってことの

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唯一の証明

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