愛をください。 (ページ21)

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21.恋人らしいところページ21

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部屋に帰ると

間もなくしてカバンの奥から着信音が聞こえた

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私の携帯なんて気にする様子もなく

雅紀は深くソファに腰をかけて

煙草に火を点ける

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カバンから引っ張り出した携帯には

薫の名前がディスプレイに流れていて

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要件の見当は出なくても付いた

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A「もしもし？」

薫『もしもし、A？ごめんね～置いて帰って～。
どうしても午後の仕事、穴開けらんなくて……。』

A「……うん、大丈夫。なんか、親切な人が付いててくれたし？」

薫『あの人！ずっと居てくれたんだ？』

A「うん、気付いたら居たから……。薫に頼まれって言ってた。」

薫『そうそう！私、付いてらんなかったから……でも……。』

A「でも？」

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薫『イケメンだったな～って、思わなかった？』

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薫の言葉にチラリと雅紀を盗み見る

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雅紀は煙草をくわえたまま

私の電話なんて気にもせず

視線はテレビへと向けている

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A「……思った。」

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薫『だよねぇ？あんなの捕まえたら、何も言うことないんだろうね？
……つっても、Aにはちゃんといるもんねぇ？彼氏。』

A「一応……ね？」

薫『一緒に住んでて、一応も何もないでしょう？』

A「そうだけど……。」

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何も、恋人らしいことなんてない

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そう言いかけて飲み込んだ

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薫に話したところで

どうにもならない話題

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そもそも、薫は

雅紀の顔さえ知らない

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薫『ところでさ……あのイケメン、名前とか聞いた？』

A「名前……？」

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カバンの中に放った一枚の名刺

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手探りでそれを探す

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