愛をください。 (ページ3)

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3.ほんの少しの期待ページ3

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A「ただいま……。」

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同棲を始めて数年

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あれほど欲しいと思っていた雅紀との関係も

既にマンネリと化していた

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乱暴に玄関にブーツを脱ぎ捨てて

ふらふらの足でリビングまでたどり着く

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ソファの真ん中に座る雅紀が

くわえた煙草を揉み消して

チラリと私に視線を向けた

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雅紀「……おかえり、楽しかった？同窓会。」

A「……うん、まぁ……。」

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雅紀のすぐ隣に、カバンを抱えたまま座ると

まん丸い目を向けて

くんくんって犬みたいに私の匂いを嗅いだ

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雅紀「飲んできたの？」

A「少し……ね。」

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飲んだのは、ほんの少し

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居酒屋に場所を変えた二次会で

飲めないから……って断ったにも関わらず

進める友人達

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結局、雰囲気に飲まれて

一杯だけ

甘いカクテルを飲んだ

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A「高校の同級生がね、結婚……したんだって。」

雅紀「……そう。」

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さっき消したばかりなのに

またテーブルの上の箱に手を伸ばして

煙草に火を点ける

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A「全然、冴えない娘だったのに……よ？」

雅紀「………。」

A「整形して、イケメン実業家と結婚したんだって。」

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目の前に

雅紀の吐き出した煙がゆらゆらと揺れる

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雅紀「他人のことは、どうだっていいでしょ？」

A「整形してまでだよ？そこまでして結婚……。」

雅紀「A！」

A「なによ……。」

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雅紀「お前のそーゆーの、聞きたくない。」

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雅紀が私のことを好きでいてくれるなら

いつもの軽いノリで

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俺らも、そろそろ結婚しよっか？

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そう言ってくれるんじゃないか……って

ちょっとだけ期待してたのに

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予想とは全く違う

私に白い目を向けた雅紀が

目の前にいた

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結婚が幸せのボーダーラインとしか思えなくて

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雅紀「結婚だけが幸せじゃないでしょ？」

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そう言った雅紀の言葉の意味も心境も

分かろうともしなかった

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