ただの高校教師【呪術廻戦】

教師 ページ39

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黒い。辺り一面真っ黒だ。

ふと意識が浮上した時目にした景色は無である、せめてもっと落ち着く色にしといて欲しいですね、水色とか。
とりあえず分かっていることはこれは夢だ。なんだっけな夢の中で夢と認識出来るやつ、なにか名称があったはずだが思い出せない。夢の中くらい問題に巻き込まれず平和に過ごさせて欲しいものだが、現実のように思い通りにならない夢らしい。地獄か？

暫く何もせず突っ立っていたが夢の中では何も変化がおきず、困ったと肩をすくめる。夢から覚めることも出来なそうだし何かしらアクションを起こす他なさそうだ。こんなにヒントがない謎解きゲーは初めてだよ俺。
前も後ろも分からないような視界の中、仕方なく歩みを進めてみる。探索するにはまずは移動せねば。そう思い少しした所でふわりと視界に光が現れた。

『お前は医者にならなくちゃいけないよ、それが三喜家の決まりなんだ』

懐かしい声が聞こえ辺りを見渡す。この声は父親のもの…だったような気がしなくもない。記憶の朧気な部分が映し出されたそれには父親だろう男がぼんやりと映っていた。
これは俺の記憶だろうか…そうすると幼い頃の忘れている思い出が見れるのか、ちょっと気になってきたかもしれない。
そう思いまた足を進める。

『ほぉら、A。小遣いをやろう、お菓子でも買ってきなさい』

『おい親父、あんまり甘やかすなよ。嫁がうるさいんだ』

これ爺ちゃんだ！えっ、爺ちゃん懐かしっ。
爺ちゃんは俺が幼い頃に亡くなってしまったが、医大に勤める偉大な医者だったらしい。あれ？ダジャレ？
こんな古い記憶まで出てくるとは、この夢意外と優秀だな。毎日でも見たい、いややっぱ飽きるからたまにでいい。
久しぶりに見た父親と爺ちゃんの顔に頬が緩み、他にも見てみたいと歩みを進めた。

……

幾つその声を聞いただろう、幼い頃の面白恥ずかしい記憶から俺が赤ん坊だった時の事まで懐かしいものを見て癒されていたのだがひとつ疑問がある。
この夢いつになったら終わりなんだ？

そう、ここに至るまで沢山の記憶を見たが一向に終わらない。なんなら俺が生まれた時の記憶とかあった、いや普通おかしいだろ、めちゃくちゃスルーしてた。
過去は振り返らない主義だがここまで過去を見たからには覚悟を決めるしかねぇ。そして現実を見なくてはいけねぇ。

この記憶、もしかしたら俺であって俺の記憶ではないのかもしれないと。

ｻﾞｯ

ノイズが掛かった。

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