2話 ページ2
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「おじゃましまーす」
「……おー、お茶か珈琲どっちがいいべ」
「紅茶」
「話聞いてねえな」
リビングを覗けばそこにはいつも笑顔で迎えてくれる人がいなくて首をかしげる。
「あれ、おばさんは?」
「親父と出掛けてて今いない」
成程、と遠慮なくソファーに腰かけて紅茶はまだかとキッチンの方を見れば寛ぎすぎだべと笑われる。
「だって自分の家みたいなもんだしなー」
「まぁそうだな、てか部屋行くべ。ゲームの途中だから」
「ゲーム?珍しい。あ、コップ持つよ」
いいよ別に、と松川……もとい一静は目を細めて笑った。
まただ。一静は二人きりの時だけ目を細めて笑う。それが何だか特別な気がして恥ずかしくて目を逸らした。
「ん、扉開けて」
「はいどーぞ…………ってあれ、ゲームは?」
よく見た部屋を見渡せばそこにはゲームなんて置いてなくて一静の方へと振り向けば「嘘」と悪戯が成功した子供のように嬉しそうに笑って紅茶が入ったマグカップを机に置いた。
えぇ……と驚きと呆れが混ざった間抜けな声をあげているうちに一静はベットへと腰かけて座れば?と手招きする。その姿が余りにも似合っているからなんだか呆れてため息をついた。
「色気の塊め」
「褒めてんの蔑んでるの」
「どっちもだよ……」
何だそれ、とつぶやけば一静に近づいた私の腕を掴んで引っ張った。
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作者名:あホッピー( ̄^ ̄ゞ | 作成日時:2019年11月1日 21時