現在、総統閣下の御前【ｄ！】 (ページ9)

今日:60 hit、昨日:11 hit、合計:2,968 hit

→ ページ9

――ある日。

『うげｪ。いつの間にか猫、増えてるｩ・・・』

そろそろ面倒見るのにも、限界がきた。

可笑しいでしょｫ、なんで僕んとこ来て一週間ちょっとで五匹も増えるわけｪ？

妊娠中の母猫が来たってことなのｫ？

ていうかｧ、まずまずセルフで産めるもんなわけｪ？

『もｫ、れいらｧクンに押し付けちゃおっとｫ』

そｫと決まればｧ、早速コンコンっとｫ。

まあ今時だし、流石に呼び鈴だけどねｪ。

「入って頂いて大丈夫ですよ？」

うん？誰だろｫねｪ。知らない女の声がしたんだけどｫ。

まｧた、女の人連れ込んでんのかなｧ。

勧められるがまま、扉を開け中に入ると見たことないオバサンが、カウンターのようなところに立っていた。

『れいらｧクンの親戚ｨ？』

彼の家に居るからには、そうなのだと思ったんだけどねｪ。

「れいらー、とはどちら様ですか？ここは私の家ですよ？」

このオバサン、言っていることの意味が分からない。

その上、宿屋だから泊ってる人の中にレイラーという方がいたかもしれない、などと抜かす。

バカにしてるんだろうか。

『れいらｧクンの家返してよｫ！』

れいらｧクンが言ったんだよｫ？隣に住んでるってｪ。

彼が僕に嘘つくはずがないものｫ。

「やだ、怖い！出て行ってちょうだい！」

室内でこちらの様子を窺っていたらしい、中年男が僕の身体を押し出した。

バタン！と冷たく閉められた扉の前に立ち尽くす。

『れいらｧクンが、家無しになっちゃたｧ・・・』

彼が帰ってきたらｧ、一度僕の家に招いて一緒に家を取り返そｫっと。

でもその晩、彼が帰ってくることはなかった。

翌日、僕だけでも家くらい取り返してやる、と息巻いて隣家の扉を押し開けると―――――。

あああ。真っ赤だなｧー・・・。