wrwrdの激重感情による(執着と執念の)追跡 VS フリーライフを守って送りたい夢主【d!】【勘違い】 (ページ8)

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次期魔王 (gr視点) ページ8

――( 行きたい )――

＿＿率直にそう思った。

だが、どうしても躊躇(ちゅうちょ)してしまって、足を前に進めることが出来なかった。

微笑んでくれて、おいでと言ってくれた、
とても冷たくて、寒くて、氷になってしまいそうな場所だと気づいてくれた、初対面なのに、次期魔王なのに！

そして、休んでいいと認めてくれた。

―― はじめてのことだ ――

――行きたい――

でも、怖くて踏み出すことが出来ない。

詰まった呼吸器官が、体の動きに蓋をする。

――怖い、…………怖い！捨てられることが、次はこわい…………――

涙がこぼれ落ちそうだ。覚悟を決めれない己自身に猛烈な嫌気が刺す。

「……どうした、座りたいなら座ればいい。

……枯れた木の幹だと叱られるか？

ならば簡素な椅子でも作ってやろう。安心しろ。

ここにはお前を怒鳴ったり否定するやつらはいない。

私が居るから大丈夫だ。

…………安心しろ」

目を見開いた。俺の心が、読めているのか？

しかし、魔法を使った形跡はないし、進行形で彼女を見ていたが使う素振りも見せなかった。
棒に魚を突き刺して炎にかざし、会った時から何故かずっと儚げな悲しみの表情をわずかに緩くさせている。

＿＿ふんわりと、香ばしい香りが鼻にふれた＿＿

……食べ物？食べ物を、焼いているのか。

材料さえあれば、ポンとコンマも立たず焼けてしまえるはずなのに……

＿＿美味しそうな匂いが、お腹の空腹を誘う。

こっちにおいでと、もう一度目で伝えてくれた。
簡単な椅子ならば厳しい教育のおかげで自分だけでも作れる。

「…………」

俺は静かに、彼女の方向へと歩き出せていた。