wrwrdの激重感情による(執着と執念の)追跡 VS フリーライフを守って送りたい夢主【d!】【勘違い】 (ページ2)

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限界突破 (gr視点) ページ2

――耐えられなかった――

＿＿目を盗んで魔王城から抜け出した。

トイレに行ってくる、と教師が席を外した勉強部屋に、見目麗しい幼児が良質な机に座っている。
息を飲んだと思うと、頬を強ばらせ検知魔法で周囲をしっかりと確認して、耳鳴りがするほど強く神経鋭くさせた。

――(これが好機だ、逃す訳にはいかない)――

固い覚悟を飲み下した。
不安と緊張の張り詰まらせた切羽詰まった声色で詠唱を始める。

ふんわりと浮かび上がった3Dの魔法陣に、静かな呼吸音を、繋げて消えさせるように周りへ溶け込めさせた。
全細胞まで集中させて、魔界の隅にひっそりそばだつ森を細部まで記憶から組み立てる。

想像の漏れを徹底的に排除し、こと細かに視覚情報を頭の中に刻みつけた。そしてざわりと不気味に揺れる、先の見えない片道へと足を踏み出した。

――(…………やったぞ。俺はもう、戻れない)――

怯(ひる)んでこもっていた肺の空気が、呼吸と共に外に出された。再び身体に回り込むおニューの酸素は、こことは似つかない新鮮さに包まれていた。

瀬戸際だった覚悟が、安堵になり押し寄せてくる。いきなりの疲労と高揚(こうよう)に、体はもう悲鳴のごとく家のベッドを要求している。

残念だったな。もうあのベッドに身体を沈めることはなさそうだ。

奇々怪々を具体化して化身したような、枯渇(こかつ)しているわりには太くてがっしりと空を覆う、うっそうな枯れ木に目線を移した。

これほんまに枯れてるんか？角張ってる感じが俺の教師に似ててて嫌なんだが。

キョロキョロと辺りを見渡す。いい所に降りることができたようだ。
深い森の奥の、誰も来れないような入り組んだ深山幽谷(しんざんゆうこく)。

数日間はここで過ごすと決めているので、今からの予定をもんもんと整理しながら土地の開けやすそうな場所を探る。

細っぽい木をニ、三本ほど切り倒して腰を置ける所が欲しい。
体力はできる限り消耗しない方が良い。幸い魔力溢れる強い体だ、食べなくても魔力が補ってくれるだろう。

こんな時だけ便利な体だな。