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136話 ページ36

慧side



ずらっと並ぶお店を見ながら、自分で車椅子を動かして服を見ていく裕翔

考えてみたら、こんな風に誰かと一緒に服を見るの、久しぶり

そもそも入院してた期間も長かったし、俺はあんまり服に興味がないから、基本的に宏太とか光が選んでくれたものを着るだけ


中「これは?」

伊「え、ピンク…?」

中「うん。春だし、どう?」

伊「ちょっと…色が……」

中「慧は可愛いし…うん、似合うと思うよ?」


可愛い…

裕翔に可愛いって言われた……


伊「……レディースみたいだね」

中「あんまりこういう色着ない?」

伊「う〜ん…持ってない」

中「着てみたら?」

伊「そうしようかな」


店員のお兄さんに声をかけて、試着させてもらう

俺の後ろからついてくる裕翔は、カーテンの目の前で車椅子を止めた


伊「他見てて良いよ…?」

中「ここにいるよ。早く慧が着てるとこ見たいし」

伊「…うん、ありがと」


裕翔が選んでくれた薄手のニットを手に、カーテンを閉める


着ているシャツを脱ぐと、目の前の大きな鏡に映る自分の体

ヒョロヒョロで白くて、どう見ても健康体には見えない

おまけに胸の真ん中を汚す傷痕

昔受けた手術の大きい痕と、まだ治りかけの小さい痕


伊「……はぁ…」


少し疲れたな…


中「慧〜?どう?大丈夫?」

伊「あ…、もうちょっと!」


急いでセーターに腕を通す

あれ、意外と良い感じかも…


伊「……どう、かな…」

中「お〜っ!いいじゃん!可愛い!」

伊「…、ありがと…」


裕翔の言う「可愛い」って、深い意味はないんだろうなぁ

だって普通男には言わないし

たった4文字に過剰に反応してるのは俺だけか


中「そういう色も似合う」

伊「…他のも見てからにしようかな。ほら、まだ全部回ってないし」

中「そうだね」


優しく微笑む裕翔に背を向けて、試着室のカーテンを閉める

屈託のないまっすぐな瞳に映るのが苦しくて

タグのついたセーターを丁寧に脱いで、壁一面の鏡を見ないように自分の服を着た

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わらびもち(プロフ) - このお話がすきで、伊野尾さんが弱るのが好きすぎて、何回も読み直したりしていたのでとても更新嬉しいです!!これからも応援しています、、、!! (2021年1月9日 17時) (レス) id: 271deec22e (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 更新、すごく嬉しいです。 (2020年9月25日 16時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - colorfulさん» ありがとうございます!!更新しないままお待たせして本当にすみません…。まだまだ続く予定ですので、これからも楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2019年10月9日 22時) (レス) id: 859447dd16 (このIDを非表示/違反報告)
colorful(プロフ) - 本当にこのお話が好きすぎて更新ワクワクしながら待ってしまうし、沢山更新されてると嬉しすぎて何度も同じページ読んでしまって全然進みません笑 もはやいつまでもこのお話が終わらないで欲しいとも思っています笑 応援しています。これからも頑張ってください!! (2019年10月7日 16時) (レス) id: a5293a7f37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あひる | 作成日時:2019年8月13日 10時

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