Our Infinity 〜2nd〜

91話 ページ41

侑李side



今日は慧がガラスの部屋から出て来る日なんだ

だから全速力で走る


学校指定のカバンがガチャガチャと揺れて肩に食い込む

ちょっと痛いけどどうでもいい


知「ただいまっ！」


とりあえずにいちゃんの病室まで行って、荷物を置かなきゃ

さっさと上着を脱いで、にいちゃんの車椅子を押して慧の部屋に…


中「おかえり」

岡「おかえり、侑李」

知「圭人！？」


カーテンを開けた瞬間に、計画が変わっちゃった

だって、アメリカの大学に行ってるはずの圭人がいたから


僕の2人目のにいちゃん

優しくて、面白くて

にいちゃんに怒られた時は、圭人が味方になってくれた

どうやって謝ればいいか一緒に考えてくれて、背中を押してくれた人


アメリカの大学に行くって聞いた時は悲しかったし寂しかったけど、圭人にはでっかい夢があるんだって にいちゃんが言ってた

その夢を叶えるためには、日本じゃ狭すぎるんだって

だから僕も「頑張ってね」って空港でバイバイしたんだ


知「圭人、おかえり！！」


久しぶりに会った圭人は髪が短くなって、ちょっとだけ日焼けしてた

でもギュって抱きついたときの匂いと優しい笑顔は変わってない


岡「ただいま。久しぶりだね。ちょっと背伸びた？」

知「2cm伸びた。圭人、なんでいるの？」

中「大学がお休みの期間なんだって。しばらくうちに泊まってくれるから、家に帰ったら圭人いるよ」

知「ほんと！？やった！！」

岡「1ヶ月くらいね。お世話になります」


もうだいぶ慣れてきたけど、やっぱり家でひとりぼっちは寂しいもん

圭人が家に来てくれるの、すっごく嬉しい


中「侑李、汗かいてるじゃん。ちゃんと拭きな。風邪引くよ？」

岡「え、冬だけど？」

中「走ってきたんだよな」

知「そうだ！ねえ、慧んとこ行こうよ！」

中「今日病室移ったばっかりだから、明日にしよ？」

知「やだ、今日行きたいの！ね〜ぇ、おねがい！」

岡「けい、って…？」

中「あぁ、ここで知り合った俺と同い年の男の子。ちょっと色々あってね…、侑李が謝りに行きたいんだって」

岡「ほぅ…」

知「おーねーがーいー！」


動こうとしない にいちゃんの腕を掴んで、一生懸命引っ張った

92話→←90話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す