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76話 ページ26

宏太side



相「また後で来ます」


そう言って、先生は離れていった

ベッドの横のイスに座って慧の手を握ると、ぴくっと小さく瞼が動いた


薮「けい…?」

伊「……っ、…にぃ……に…」

薮「よかった…」

伊「…ごめ…ね……」

薮「なに謝ってんだよ。慧は悪くないだろ?」


酸素マスクが、慧の呼吸に合わせて白く曇る

うっすらと開いた瞳は今にも閉じてしまいそうで、顔も全体的に青白い

全身から疲れと倦怠感が伝わってきた


薮「頑張ったな」

伊「……ん、」

薮「寝てな。俺、ここにいるから」

伊「…ひか…は…?」

薮「外にいるよ。ここは家族しか入れないんだって」

伊「…ひかに…ごめんね…って、…いっといて……?」

薮「……うん、わかった。言っておく」

伊「あぃがと…」


弱々しく微笑んで目を閉じる

手を握ったまま頭を撫でていると、すぅすぅと寝息が聞こえて来た


当たり前だけど、発作が起きたのは慧のせいじゃない

むしろ慧が1番苦しんでる

それなのに、心配かけたから、迷惑かけたからって何度も謝るんだ


代わってやりたい

何度そう思っただろう

でも慧は「宏太が病気になってたら、俺の力だけじゃ2人とも食っていけないよ」って言った


真っ白な手を握りながら慧の寝顔を眺めていると、後ろから相葉先生に声をかけられた


相「慧くんの状態について話したいことがあるんですが、よろしいですか?」

薮「…はい」


細い腕を布団の中にしまって椅子から立ち上がる

HCUを出て光と合流すると、個室に案内された


机と椅子があるだけの無機質な部屋

ここ、慧の病気を知らされた時と同じだ…

タブレット端末に写る白黒の画像を俺たちの方に向けてくれた


相「これが、さっき撮ったMRI。これが3ヶ月前のもの。明らかに心臓が肥大化しています」

薮「…………」

相「今回の大きい発作に誘発されて、発作を繰り返す可能性がある。医師としては…しばらく入院して治療を受けることをお勧めします」

薮「このまま…入院ってことですよね…」

相「…はい」


視界がチカチカする


だめだ

俺がしっかりしなきゃ…

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あひる(プロフ) - colorfulさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけて、とっても嬉しいです! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 859447dd16 (このIDを非表示/違反報告)
colorful(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。このお話、大好きです!!こんなに更新されるのがワクワクしている作品は未だかつてありません。本当に大好きな作品です。次の更新も待ってます。頑張ってください。 (2019年6月1日 15時) (レス) id: 0ff304e122 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あひる | 作成日時:2019年4月19日 8時

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