Our Infinity 〜2nd〜

67話 ページ17

裕翔side



伊「あれ、弟くん来てる？」


ベッドの横の机を見て、慧がそう聞いた

理科の問題集を手にとってパラパラと中を眺める


中「あぁ、それね、侑李の忘れ物」

伊「随分多い忘れ物だね」

中「…うん…、まあね」


問題集1冊に教科書、漢字ドリル、プリントを纏めたファイル

昨日俺が侑李の頰を引っ叩いて、逃げるように病室から出て行った侑李が机の上にあった勉強道具一式全部置いていったから


叩いたのはやりすぎだったけど、侑李は言ってはいけないことを言ったんだ

本人もそれはちゃんと分かってるはず

でも次来た時に、俺も叩いたことを謝らなきゃ


伊「今日リハビリは？」

中「午前中にやってきちゃった」

伊「なーんだ、見たかったのに」

中「まだ歩くには程遠いよ」

伊「早く退院して、弟くんのこと喜ばせてあげなきゃねぇ」

中「そうだね」


この後侑李が来るなら、本当は慧がいないほうがいいのかもしれない

でも慧になんて言えばいい…？

弟と喧嘩したから帰って、なんて、こっちの都合だし

それに侑李が今日だけ慧と会わなかったにしても、根本的な解決にはならない

それに理由もなく人を嫌うのは良くないし、それは侑李にも理解させなきゃ


伊「裕翔？どうしたの？」

中「え…あぁ、なんでもない。……慧さ、お兄さんいるよね？」

伊「いるよ」

中「怒られることある？」

伊「しょっちゅう」

中「…叩かれたことは？」

伊「……弟くんと喧嘩でもした？」

中「まあ…そんなとこかな」

伊「あるよ。高3の時。なんかもう色々嫌になっちゃって、飲まなきゃいけない薬を全部庭に捨てて、大学なんか行ったって金かかるだけなんだから行かないってね」


思ってた以上に荒れてんな…

ちょっと意外


伊「止めようとした宏太にね、もう死んでやる〜って言ったら、もう思いっきり引っ叩かれた。悲惨だったよ？口の中ぱっくり切れて血出たし、ほっぺ腫れるし」

中「…どうやって仲直りしたの？」

伊「次の日になったら宏太が普通になってたから。だからなんか…普通に謝れた。そしたら、おうって。それだけ」

中「そっか…」

伊「多分、弟くんも勢い余って謝れなくなっちゃっただけだからさ。いつも通り接してあげたら？」

中「うん、ありがと」


侑李と言い合いになった理由も話してないけど、慧の言葉はなぜかすっと入ってきた

侑李は優しい子なんだから、あの言葉も本気なわけがない

ただ、ちょっと興奮して言い過ぎちゃっただけ

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