65話 ページ15
侑李side
最近の にいちゃん、何か考えていることが多い
ぼーっとしてるよう見えて、どこか嬉しそうだったり悲しそうだったり
僕ね、わかってるよ
にいちゃんが何を考えてるのか
あいつのことでしょ
伊野尾、ってやつ
もううんざり
あいつ、嫌い
中「なんだよ、どうした?」
にいちゃんは自分で気づいてないの?
あいつと話してる時の笑顔、僕に向ける笑顔と違うんだよ
ぼーっと考え事をしている時の顔は、あいつを見る顔と一緒
僕と一緒にいるのに、違うやつのことを考えてる
今だって、何回も呼んだのに気付いてすらくれなかった
知「べつに。なんでもない」
中「侑李?なんか変だよ?」
知「…………」
中「侑李。ちゃんと言って。隠し事なし」
知「変なのは、にいちゃんだよ!!」
僕の肩を掴んだにいちゃんの手を払いのける
にいちゃんの顔、びっくりしてる
そりゃそっか
だって今までこんなこと、したことないもん
知「最近のにいちゃん、いっつも違うこと考えてる」
中「違うことなんか…」
知「僕が気付かないとでも思った?木曜日に来てる奴のことでしょ。ニコニコしながらいっつも楽しそうに喋ってさ。僕が来ると、避けるみたいに帰るんだよ!僕が邪魔ならそう言えばいいのに!」
中「何言ってんの。邪魔なんて思ってないよ?」
知「明日だってどうせ来るんでしょ!僕、あいつ嫌いだから!」
中「嫌いなんて簡単に言うんじゃない」
知「嫌いなもんは嫌いなの!大っ嫌い!!」
中「侑李、いい加減にしなさい」
一度口から出た不満は、止まるどころか次から次へと出てくる
こんなこと言ったら、にいちゃんに嫌われる
そんなことはわかってる
でも嫌なものは嫌なんだもん
知「なんで病院来てんのか知らないしどうでもいいけど!あんなやつ、もっと悪くなって来られなくなっちゃえばいい!!」
パシンっ
乾いた音と同時に、左のほっぺに痛みが走る
すぐにほっぺが熱くなって、にいちゃんに叩かれたんだって気付いた
鼻の奥がツンってして、目の前がぼやける
ベッドの横に置いてあったカバンと上着を引っ掴んで、全速力で病室を出た
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あひる(プロフ) - colorfulさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけて、とっても嬉しいです! (2019年6月3日 16時) (レス) id: 859447dd16 (このIDを非表示/違反報告)
colorful(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。このお話、大好きです!!こんなに更新されるのがワクワクしている作品は未だかつてありません。本当に大好きな作品です。次の更新も待ってます。頑張ってください。 (2019年6月1日 15時) (レス) id: 0ff304e122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あひる | 作成日時:2019年4月19日 8時