第7話 グレイグと ページ9
カミュ:「さて…じゃあ俺らはちょいと席を外すか。
ま、頑張れよシアン」
シル:「シアンちゃん!あの堅物に何かヘンな事
されたらすぐに呼ぶのよ!叫ぶのよ!」
「あ、あははは……」
こうしてグレイグと2人取り残されたシアンは躊躇いながらも彼の表情の見えない顔を覗き込んだ。
それと同時に彼の無骨な手がシアンの細い腕をがっしりと掴む。
「……グレイグ?」
グレ:「……………シアン」
グレイグは低く掠れた声でシアンの名を呼ぶと掴んだ彼女の腕を引き寄せ、堅く自分の腕の中へと閉じ込めた。
自分に触れるグレイグの燃えるような熱い体温。
厚い胸板、自分を包む長い腕……
……彼が自ら私に触れてくれている。
それが、嬉しくて、悲しくて、切なくて……
彼を感じる何もかもが苦しい。
…これも私の罪。
シアンはグレイグの腕の中から逃れるよう後退りながら小さなか細い声を漏らした。
「……ごめんなさい、グレイグ。
私は…本当に最低な女だ。結局私が貴方を
置いていくことになるなんて……。
どうか、私がいない世界では…私のことは
忘れて…幸せに、」
グレ:「……まれ…」
「?……っ!」
グレ:「黙れ」
見上げたグレイグの表情は今までに見たことないほどに怒りの色に染まっていた。
そして、悲しみ、苦しみ……
再び彼の強い力に身体を引き寄せられると、
そのまま強引に唇を奪われる。
「ちょ…!グレッ…ん…っん…」
グレ:「………ふっ…」
熱い吐息を漏らしながら与えられる激しく甘い熱にシアンは思いがけず全身の力が
抜け、グレイグに寄りかかった体勢になる。
ようやく彼の唇が離れたかと思うと、息苦しさのあまりシアンは呼吸を乱し、グレイグにしがみつく。
「こ…んのっ……鬼畜……」
グレ:「………忘れろなど、二度と口にするな」
グレイグの低音の声が心地よく鼓膜に響く。
その声は…何よりも悲しみに満ちていた。
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時