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第37話 あなたの隣に ページ39

翌朝、シアンは昨日マルティナに言われたように玉座の間へと訪れていた。

そこには既にほかの仲間たちも揃っており、
玉座には両脇にマルティナとグレイグを控えさせたデルカダール王が座している。

シアンはゆっくりとした足取りで玉座の前までくると恭しく王に頭を垂れる。
王もそれに合わせて静かにシアンに向かって
頭を下げて見せた。

デル:「話は臣下たちとマルティナから聞いた。
わしは悪夢にとらわれている間、ずいぶん
酷い王だったようだな………。
そなたがいなければこの国は……。いや、この世界はウルノーガに焼き尽くされ、地上の命は
絶えていたことだろう」

デルカダール王は玉座より立ち上がり、高々と
威厳のある声を張った。

デル:「シアンよ!よくぞ悪しき元凶ウルノーガを倒し、ロトゼタシアを救ってくれた!
そなたこそ古の勇者、ローシュの名を継ぐに
ふさわしい若者!……今ここに勇者の称号を
授けよう!」

「……ありがたきお言葉の数々…。
このシアン、光栄の極みにございます。
デルカダール王よ」

ウオオオオッ!

玉座の間にいる兵士たちの歓声が響く。

それを聞いて、隣にいた相棒…カミュは珍しくも感慨深げに一言ポツリと漏らした。

カミュ:「俺たち…とうとうやったんだな」

それにシアンとそばにいたセーニャは深く
頷く。ふと、セーニャは隣にいる小さな姉の姿をみて微笑んだ。
ベロニカはその大きな瞳に涙を溜めて、それが零れないように両手でくしくしと擦っている。

セー:「お姉さま……?」

ベロ:「………ごめんなさい。…今こうして皆と
この場にいることが、なんだかすごく幸せな気がして………」

セー:「イヤですわ、お姉さまったら。私たちは
いつだって一緒だったじゃありませんか」

ベロ:「ええ…そうよね、変よね……」

「……ふふ、案外ベロニカの言う通りかもね。
…私たちがここにこうやって皆でそろって
この喜びを分かち合うことができる……。
それって、とてつもない奇跡なのかもしれない」

シアンはそう言って天井を仰ぐ。

……あの世界の皆ともこうやってベロニカが隣にいることの幸せを…分かち合いたかった。

ベロ:「ありがとう、シアン………。」

「…こちらこそ」

今、私の隣にいてくれて本当にありがとう。
ベロニカ。

そして…ごめんなさい皆……。
過去に遡り、あなたたちを残していった私を…

どうか許して………。

第38話 不穏な空→←第36話 勇者の不覚



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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時

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