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第36話 勇者の不覚 ページ38

王はその場に立ち上がろうとするが、やはり
長らくウルノーガに憑依されていたため、身体の
自由が効かぬのだろう。
マルティナとシアンはふらつく王を再びゆっくりと玉座に座らせる。

「…王よ、無理はなさらないで下さい」

デル:「すまないな…そなたとはきちんと話をしたいところどが…やはり、まだ身体が言うことをきかぬ……ごほっ、ごほっ…!」

マル:「お父さま…!あまり喋ってはいけません。
ひとまず身体を休めましょう。
…シアン、私はお父さまの容態をみることに
するわ。明日になったら、またこの玉座の間まで来てちょうだい」

「ああ、そうさせてもらう。どうか王を頼んだよ
マルティナ」

マルティナは身体の動かぬ王を支えながら
玉座の間を後にした。

シル:「マルティナちゃんは16年ぶりにパパに
会えたんだもの……
ふたりだけにさせてあげましょ」

「そうだね…」






デルカダール王が魔物に取り憑かれていたことはたちどころに城中に広まった。
本物の王はすぐさま介抱され……
シアンたちは王の目覚めを待ちながら
一晩休むことにした。

そして、その夜………。

シアンは貴賓室のベッドの上にうつ伏せに
寝転がっていた。
その体勢で大きく肩で呼吸をして、ようやく
すべてを終わらせたのだ、という思いを再確認する。

…これで皆との旅も終わり。
結局グレイグとはこの世界では旅もせずに
終わるのだ。

シアンは前の世界の仲間たち、そして今の世界の仲間たち1人1人を思い出して…
思わず泣きそうになる。

ここまで色んなことがあった。

私は…勇者になれたのだろうか。

『お前は…紛れもない、勇者だろう』

ふとかつて魔王ウルノーガを倒し、平和の戻った
最後の砦で小さく呟いた自分の独り言に
そう勝手に応えてみせた英雄を思い出す。

………そういえば

そして先刻の昨晩から明朝まで続いた
魔道士ウルノーガとの戦いでのこの世界の英雄のことも思い出した。

あの時の肌を突き刺すような強烈な殺気。
英雄…否、むしろ獣のような顔をした彼。

あんな彼を見るのは前の世界のことも含め、
初めてのことだった。

「……英雄に救われるとは…一生の不覚」

そう独りごちる。

あの時の、グレイグが軽々とシアンを抱きすくめた時の…彼の腕の中にいた、という感覚を
早く忘れたくてシアンはベッドのシーツを
頭まで被って、無理矢理にでも眠りについた。

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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時

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