第30話 魔道士ウルノーガ ページ32
ウル:「我は魔道士ウルノーガ………。
16年前にユグノア王国を滅ぼし、
デルカダール王に成り代わった者………。」
「……………。」
シアンは静かにウルノーガを見据え、腰に挿した剣の柄に手を置く。
ウルノーガも妖しい笑みをたたえながら
自分を凝視するシアンを見下ろした。
ウル:「今まで貴様を追い回していたのも、
すべては勇者の力を利用して、勇者の剣を奪い、
大樹の魂を得るため………。
だが、勇者の剣が貴様の手に渡った今。
もはや手段は選ばぬ!この玉座の間が貴様らの
死に場所となるのだ!」
ウルノーガは手に持つ杖を振るい、玉座の間
一帯に闇のオーラを撒き散らす。
シアンは剣を抜こうとするが、隣にいた祖父が拳をわなわなと震わせ、重い1歩を踏み鳴らしたため、そちらに顔を向ける。
ロウ:「貴様が魔道士ウルノーガか………。
こうして会える時を16年もの間待ち侘びたぞ!」
「ロウ爺……。」
怒りに震えるロウ。そして次にはグレイグが
声を上げる。
グレ:「ウルノーガ……貴様………!
今までずっと王に取り憑き、私を謀ってきたと
いうのか!」
猛将の何ものをも竦みあがらせるような怒号。
それにウルノーガはまるで嬉々として口角を
あげて見せ、グレイグの言葉に応えた。
ウル:「グレイグよ……貴様はよい手駒であった。
焦らずともすぐに、天国の家族のもとへと
送ってやろう」
「……っ!」
グレイグの出身は確か…30年ほど前に王族もろとも滅亡したというパンデルフォン王国。
まさか……そのパンデルフォン王国まで…!
シアンは思いがけず後ろにいるグレイグを
振り返って、見る。
グレ:「貴様……まさか……。
我が祖国パンデルフォン王国を……!」
彼の表情は驚愕から…激しい怒りへと変貌し、
その中には痛み、悲しみ、悔しさ、憤り……様々な
感情が入り混じって、見ていられないものだった。
それと同時に、自らの中からも、水が沸騰するように…フツフツと激しい怒りが湧きあがってくる
のを感じた。
シアンの斜め後ろに控えていたマルティナも
ドンッ!と音を立て、怒りをぶつけるように足を地面に振り下ろす。
マル:「生まれたばかりのシアンを襲い……。
ユグノア王国を滅ぼし……。そして私たちの
16年間を奪った貴方だけは許せない!
この無念……思い知らせてあげるわ!」
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時