第28話 勇者と英雄 ページ30
ﾏﾙ:｢消えた…!?｣
ﾍﾞﾛ:｢ちょっと!出てきなさい､卑怯者!
王になりすましたり､逃げ回ったり､
セコいやつね!｣
｢あの邪悪な魔力の残滓……あれを辿って行けば
追いつけるかも!皆､行こう!
ベロニカ､セーニャ!先頭について､魔力の残滓を辿ってくれない?｣
ﾍﾞﾛ:｢そんなの楽勝よ!行くわよ､セーニャ!｣
ｾｰ:｢はい!お姉さま!｣
ｼﾙ:｢2人とも!お願いねん!｣
ベロニカとセーニャを先頭に皆は次々に
貴賓室を後にする｡それに続いて最後に
シアンも部屋の外へと向かおうとするが､
今だデルカダール王に憑依したウルノーガの
邪悪な魔力の漂う部屋内を呆然と見つめる
グレイグが目に入り､放っておけるわけもなく､シアンは彼に声をかけた｡
｢……英雄殿｣
ｸﾞﾚ:｢……私の主君は…………デルカダール王は､
王ではなく…人でもなかった……?
では､今まで信じてきたものは…いったい………｣
…グレイグは無意識のうちに､僅かに以前と様子の違ったデルカダール王を警戒していた｡
しかし､堅く忠誠を誓った主君を疑う､という
感情を持つ自らを許せず……彼もこの16年間を
苦しんで生きてきた被害者なのだ､ホメロスと
同じように｡
シアンは呆然と佇むグレイグの目の前に
ツカツカと歩いてくると､誰もが敬愛し､尊敬し､
時には圧倒的力で竦み上がらせる､英雄と讃えられた屈強な男を見上げ､叱咤した｡
｢デルカダールが双頭の鷲の片翼､
猛将グレイグ!英雄と讃えられる貴方がここで
止まっていてどうする!貴方は命に代えても
己が主君を守るのだろう!?｣
ｸﾞﾚ:｢…っ………!｣
｢今は貴方の半身である智将がいない!
ならば､私が貴方の半身となり､貴方の背を守る!…貴方は前だけを向いて､貴方の誓いを､
守りたいものを守るのだ!
…………さあ､どうする英雄!｣
グレイグは凛としたよく耳通る声で自分を叱咤する､若い勇者に驚いたような面持ちを見せていたが､そのうちに､益々その表情は────
何ものをも射抜く鋭い双眸に
鬼迫を纏った………英雄と讃えられる男の顔｡
ｸﾞﾚ:｢……私の半身の代わりを成すのならば､
勇者とて容赦はせぬぞ｣
｢ふっ……言ってくれるな､英雄殿｡
確かに貴方の半身は骨が折れそうだ……が､
私は勇者だ｡問題ない｣
こうして2人は互いに深く頷き合うと､貴賓室を
出て､ウルノーガの魔力の残滓を追って行った｡
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (
レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています！頑張って下さい！！ (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると､とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです！更新待っています（*^_^*） (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りまるま | 作成日時：2017年8月27日 10時
