第27話 闇に紛れた刺客 ページ29
デルカダール王はじっと観察するように見つめていた勇者の剣にそっと手を伸ばす。
その瞬間、シアンの眠っていたベッドの
シーツ諸々が勢いよく宙を舞った。
バシッ!!
デル:「ぐあっ!」
王は突然の痛みに声を上げ、勇者の剣に伸ばしていた手を引っ込める。
そんな王をベッドの上で仁王立ちをして見下ろすは、シアン。
「……貴方の娘さま直伝の蹴りです。
それにしても、王よ。いったいどうなされたの
です?このような夜更けに」
どうやら彼女は始めから目が覚めている状態で
あったらしく、タイミングを見計らって、
勇者の剣に伸ばす王の手をマルティナ直伝の
強烈な蹴りで押さえたようだ。
王は片手をおさえ、フラフラと後ずさると
妖しい赤色の光をたたえた瞳でシアンを
睨みあげた。
デル:「貴様っ!……その剣を…勇者の剣を
私に寄越せっ!」
「……ようやく正体を現したか…悪しき者よ」
シアンはベッドから降り、立て掛けてあった
勇者の剣の柄を強く握りしめ、王にその刃を
向けた。
それと同時に、勢いよく貴賓室にシアンの
仲間たちが何事かと駆けつけた。
マル:「いったい何の騒ぎ!?
シアン、どうしたの!?」
皆はデルカダール王とシアンが対峙した
この状況に目を見張る。
それに遅れて、グレイグも貴賓室へと駆けつけてきた。
グレ:「…姫さま………これは…!?」
「……どうやら役者は揃ったみたいだね。
さあ……どうします?デルカダール王…否。
ウルノーガ」
シアンの言葉に皆が驚愕の色を見せる。
しかし、先頭にいたマルティナとロウは確信めいた表情で大きく頷いた。
マル:「やっぱり貴方はお父さまじゃない………。
いえ、人ですらなかったわね」
ロウ:「なんとなく気づいておったよ…。
デルカダール王と何十年も親交のあったわしの
目をごまかせるわけがなかろう」
カミュ:「なるほどな…宴までひらいて王になりきるとは…。まったく、とんだタヌキがいたもんだぜ」
デル:「……ちっ!」
デルカダール王…否、ウルノーガは短く舌打ちを
打つと纏っているローブを翻して、闇に溶ける
ように消えた。
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時