第17話 もう1人の英雄 ページ19
キン、キィン!……ガキィンッ!!
剣の刃が交わる金属音。
シアンはホメロスの放つ攻撃呪文を避けながら確実にダメージを与えていく。
その中でふと、シアンはこの時空に来るまでのグレイグのことを思い出した。
魔王の居城にて、魔物と化した親友と最期に
言葉を交え、おそらく無念のうちに逝ってしまったであろう親友の自分の揃いのペンダントを
強く、強く…握りしめる。
…痛みを堪えるようなあの悲しい横顔。
……酷く自分を攻め立て、償うため、痛みを背負うためにただひたすら苦しみ、戦い続けていた
あの英雄は…………。
シアンは最後に渾身の一振りでホメロスの手にある闇のオーブを叩き斬る。
ホメ:「ぐあぁぁっ…!」
ホメロスは苦しげに唸ってついに地に膝をついた。シアンはある程度距離を取り、彼の様子を見守る。
ビキビキ…
「!」
そろそろこの剣も限界か…
音を立てて今にも崩れそうな魔王の剣。
シアンはそこから再びホメロスに視線を向けた。
ホメ:「バカなっ……。この私が……この私が、
敗れるなど……っ!こんなところで果てては
あの方へ申し訳が立たぬ!」
「……もうやめなさい、英雄殿」
ホメ:「っ!!何が英雄だ!
貴様…私を愚弄しているのか!?」
「デルカダールが英雄、双頭の鷲の片翼…
智将ホメロス。貴方も立派なデルカダールの
英雄だと…貴方の国の民たちが
口々に言っていた」
ホメ:「!……違う。そんなもの関係ない…私は、俺は
あの男を…アイツを超えるまでは……!っ…ぐっ…」
ホメロスはそのままうつ伏せに倒れてしまった。
シアンは慌てて駆け寄ろうとするが
しかし、すぐそばで感じた異様な気配に、すぐに
その足を止めた。
大樹の神域に新たに姿を現したのは
デルカダール王とデルカダールの英雄グレイグ将軍。
………ウルノーガ。
そして………グレイグ。
グレ:「ホメロスを追って来てみればこれは
いったい………。この場で何が起こったというのだ………」
倒れたホメロスを見て多少なりとも困惑している様子のグレイグ。
………ああ、胸が疼く。
シアンは胸元の襟を強く握った。
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汐乃(プロフ) - ルビスさん» ありがとうございます!少し更新が遅めになりますが…頑張ります! (2017年9月5日 1時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
ルビス(プロフ) - シナリオ、キャラクターにとても好感が持てました続きを毎日楽しみにしています!頑張って下さい!! (2017年9月4日 3時) (レス) id: 0261b564cd (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - はちみつ恋風味さん» そのように評価していただきありがとうございます!このような駄文ですがそう言って貰えると、とても嬉しいです! (2017年8月30日 4時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ恋風味(プロフ) - 面白いです、原作に沿ってストーリーを進めている展開にドキドキしながら読ませていただいています。わたしもホメロス好きなので救っていただいて嬉しいです!更新待っています(*^_^*) (2017年8月29日 17時) (レス) id: 8fdbcc3360 (このIDを非表示/違反報告)
汐乃(プロフ) - ポテコさん» ご指摘ありがとうございます!すぐさま訂正させていただきました! (2017年8月28日 22時) (レス) id: 606c0a317c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りまるま | 作成日時:2017年8月27日 10時