狐のお面なんて外せ！2 【完】

第57話　でて、おいで　YG ページ27

ユンギside





YG「ん〜……」





魚様がいたのはこの部屋
書斎ではなく、ここは彼女の自室らしい





YG「…すぅ〜っ………はぁ…」





いい匂いがする

お香の匂い？





違う









魚様の匂い









頭がぼんやりしてくる








YG「ねぇ、いるんでしょ？」








呼びかけても返事がない
そりゃそうか…






俺は深呼吸をやめて部屋の捜索に取り掛かる
きっと、魚様はこの部屋にいる

俺が廊下を走ってる間
誰の足音もしなかった


この時間は護衛人さんたちが交代する時間だから
廊下を歩く人はよほどいない

俺達狐はそれまで計算して集会をしてるんだ



…っていっても、計算してるのは全部ナムジュンなんだけど






YG「いる？」






ベッドの下、いない







YG「…出てきてよ」







カーテンの中、いない






YG「怒ったりしないから…」






ソファーの裏、いない






別に怒ってないのに…
ただ、俺は何を見ていたのか聞きたいだけ






YG「魚様……俺怒ってないから。ただおしゃべりしたいだけ」






月の光が窓から差し込んで
部屋の中を照らした


自分の影が床に伸びてちょっと怖い感じになってる



もしかして、俺怖い？





YG「あ…ねぇ魚様。俺別にそんな…いや……」





慌てて自分の着物を正したり
髪の毛を触ったりしてアピールをしてみる

どこから俺の事を見てるのか全く分からないけど…
あぁ、どうしよう…








YG「あの………









出てきてよ。









俺








何もしないから」








あ
俺今嘘ついちゃったかもしれない





『なにもしない』は、嘘





お話したい







YG「はぁ…」







頭を抱えて部屋の中を見渡してみる
あと、探してないところは…


覗いてない所は…









YG「………………………………」









クローゼット





目の前に立った俺
首をかしげて観音開きのドアの真ん中を見てみる


開いてるのか…
開いてないのか…

どっちなん







YG「ア」







今何か光った






俺はその瞬間に扉の取っ手を引っ掴んで勢いよく開いた









バンッ！！！！








YG「…あれ」






あるのは見覚えのある魚様の着物たち
それに何となく触れて、撫でてみた

着物の隙間をかき分けて



奥へ…





奥へ……









YG「ン。みぃつけた」

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