狐のお面なんて外せ！2 【完】

第47話　落ちこぼれ　YG ページ12

ユンギside





深緑の着物に、白い帯

背中の帯に綺麗な黒髪が当たって
毛先が傷んでしまいそう…




魚「……？」
YG「どうしましたか？」
魚「いや、あんまりにも静かだからいなくなったのかと」




なんてことを言うもんだから
俺は廊下をゆっくり進んでいく彼女に少し近づいた


魚様は頷いて、俺も何となくちょっとだけ頷いた


いつもと違う魚様の、どこか柔らかい雰囲気に俺はちょっと不安になってくる
きっと仕事の話をされるんだろうって、何となくわかる




魚「どうぞ」




魚様が俺を連れてきた場所
そこは俺達狐の集会所である裏庭だった

何となくそわそわしながら俺は裏庭に入った
後ろから魚様がちょこちょこついてきて可愛い




魚「…さて」
YG「どうしたんですか」




池のふちにしゃがんで鯉を眺める俺
昼間に見たのは初めて…
こんなに綺麗だったんだ






魚「7人中最下位」






やっぱり…
お仕事の話

最下位って言うのは、稼ぎの事だろう




魚「しかもダントツ」
YG「………」
魚「そんなに女客が気に入らないか？」




気に入らないというか…
魚様が好き

だから、魚様以外の女の人は別にどうなろうと別に…





魚「微動だにしないそうじゃないか。首もかしげないのか」
YG「そうですね」
魚「わざとやってるの？」
YG「わざとって言うか…」





ホントに興味がわかないだけ
何を言われてもお金を積まれても別に俺が魚様のすべてを知ることはできないし…



魚「ね、ご褒美あげようか。報酬沢山もらえたら」
YG「いりません」
魚「…それは予想外だ」



俺の頭に手を置いた魚様
目を真ん丸にして俺を見下ろしてる



YG「そのご褒美って…たとえば？」
魚「例えば…。食べたいものをあげる」
YG「食べ物には興味ない」
魚「着物」
YG「…ちょっと欲しいけど自分で買える」
魚「じゃあ…なににしよう」
YG「俺が決めていい？」
魚「物騒な事でなければ」



何となく後ろで魚様が笑ってるのが分かる

俺の頭に浮かんだこと
それは…




YG「…じゃあ、時間をください」
魚「時間？休暇って言う事？」
YG「違う。『魚様の時間』が欲しい。…もし俺がいっぱい稼いできた日があったら、その日は俺が寝るまで隣にいて…？」
魚「…変な事言うもんだ」




名前を知ろうが、顔を知ろうがそんな事は関係ない

すべては魚様の脳みそに詰まってるんだから

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