人の心地よさを、知らなかったんだ。*1 [N.K] (ページ2)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:7,908 hit

2 ページ2

営業部。俺が所属する部署だ。

正直、営業なんてやってられるかって、入社したときは思ってたけど、まあ今は、営業と言えど、飛び込みのものばっかりじゃないし、悪くないかなとか思ったりして。

俺の場合、昔からちょっと腰が悪くて、それが負担になったりはするけど。

同期にも恵まれてるし？

イケメンのくせに、朝はダメな奴だけど。

煩いのから学生時代の知り合いまで、どうしてこんな偶然が、といえるくらいには知り合いがいる。

そう考えると結構いい環境なのかもしれないなーと、

同窓会で再会したりして他のヤツの話を聞くと思う…こともある。

「んじゃちょっと、行ってきます。」

「おー、今日結構掛かるだろうから、お前直帰でいいぞー。」

「お、ありがとうございますー」

こんなんで、日々仕事してたわけ。

最初はモチベが無かったけれど、それなりにやってれば自然とスキルも身につくものだ。

「本日伺ったのは弊社の新しい製品についてでして。」

一気に捲し立てちゃダメ。

そりゃ、押し切るパワーも必要だけど、

相手に吟味させた上で、こっちを選ばせるのが、営業やってる者としては。

醍醐味でしょ？

クライアントはもちろん「お客様」だけどさ、

気分はいつだって詐欺師だね。

少なくとも俺はそう思ってる。

自社の製品の特色は誇張せずとも、他社との違いを明確に。そして相手の希望を捉えて。

そして、いかに平凡なことを他社より有利なように聞かせるか、嘘にならないように上手く話す。

対人スキルが高いとかなんとか言われるけど、悪く言ってしまえば、人を転がすわけ。

性格がひん曲がってるって思うだろうけど。

でもこれが俺なんだから仕方ない。

そんな生易しく、真っ直ぐに生きるのなんて、このご時世ですから。

無理って悟っちゃったんだよな。