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授業が終わって私はバス停まで歩いていた。
5、6限目が体育だったせいで疲れているからバス停まで歩くのも面倒くさい。
「そんなダラダラ歩いてたらバス間に合わないよ。」
後ろから歩いてきた先輩がそう言いながら私を追い抜いた。
ハッとして私は先輩を追いかける。
「今日、体育で疲れてるんですー!」
「それでお昼来なかったの?」
「…え、?」
思いがけない先輩の言葉。
まるで私のことを待っていたみたいじゃない。そんなの。
「…なんでもない。」
「えー!ちょっと待ってくださいよ!」
私の顔が緩んだのを察してか先輩は早歩きになった。
今日は昼休みをスングァン達と幼なじみ過ごしたからその代わりに、先輩に帰り道会えたらラッキーだなって思ってた。
そんなこと伝えたらまた嫌そうな顔されるかな。
「今日はなんの授業かありましたか?」
「……大したもの無かったよ。」
「えー!大したもの無くても教えてくださいよ!」
バスに乗っていつもと同じ、先輩の隣に座る。
やっぱり帰りのバスも人は少ない。
バスが停車する度に人は降りていくから、気がつけばバスの車内も先輩の本のページをめくる音だけしか聞こえなくなっていた。
静かだとなんだか眠くなる。
「先輩…なんか寝そうです…寝ないようになんか話してください。」
「……」
「歌とかそういうのでもいいです。」
重くなっていく瞼。
本当に眠ってしまいそうで私は先輩にそう頼んだ。
返事はないしまた無視されたかも。
重い瞼を完全に閉じた時、穏やかな歌声が聞こえてきた。
先輩が歌ってくれてるのかな。
韓国語でもないし、おばあちゃんの話している日本語ともまた違う発音の歌詞。
何語だろう。
優しい歌声だけど少し切なさを感じさせる。
この曲の歌詞の意味が分かれば、先輩がどうして友達を作らないのか、どうして時折寂しそうな辛そうな顔をするのか分かるのかな。
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何かが肩に触れる感覚がして目を覚ました。
「…わ!あれ、寝てました?わたし!」
「寝てた。もうすぐ降りるでしょ?」
窓の外を見ればバスはもう家の近くまで来ていた。
それを見計らって先輩が起こしてくれたのか。
「なんか眠くなって次の瞬間寝てました。でもなんかいい夢見た気がします。」
「なら良かった。」
また明日、そう挨拶をして私はバス停を降りた。
車内に一人取り残された先輩が少し寂しく見えた。
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サンチュ(プロフ) - あのさん» わーコメントありがとうございます!ハオちゃんメインの作品少なめですよね!お褒め頂けて嬉しいです!そしてお優しい…さすがハオちゃんペン…😭これからも更新頑張りますので、あのさんも体調にはお気をつけ下さい! (2022年12月3日 11時) (レス) id: d50821326c (このIDを非表示/違反報告)
あの(プロフ) - コメント失礼します。ハオちゃんペンなのですが、占ツクにハオちゃんメインの作品が少ないな...と思っていたところでこんな素敵な作品に出会えてとっても幸せです❕最近は冷え込みが厳しくなってきていますが、体調にはお気をつけて更新頑張ってください🥺 (2022年12月2日 19時) (レス) @page39 id: 6565fe37a1 (このIDを非表示/違反報告)
サンチュ(プロフ) - 寿美?.*゚さん» 初めまして!コメント嬉しいです!ありがとうございます!更新を楽しみに過ごして頂けてるなんてありがたいお言葉…(TT)これからも頑張るのでよろしくお願いします〜! (2022年11月26日 11時) (レス) id: d50821326c (このIDを非表示/違反報告)
寿美?.*゚(プロフ) - 通知が来てすぐ読みに来ちゃいました!最近この話が更新されるのを楽しみに過ごしてますwwwこれからも応援してます!コメント失礼しました(*´∀`*) (2022年11月26日 0時) (レス) id: 8356092332 (このIDを非表示/違反報告)
サンチュ(プロフ) - fuyu0526さん» はじめまして、コメントありがとうございます!好みにドンピシャだなんてお言葉嬉しすぎます〜!考察もしながら読んでくれてるんですね!更新頑張りますのでこれからも主人公とハオちゃんを見守ってあげて下さいませ( т т ) (2022年11月25日 23時) (レス) id: d50821326c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サンチュ | 作成日時:2022年11月15日 21時