-※草木に当たって出来た傷です- ページ5
〜ミコトside
少女を連れて帰って侍女に身支度を頼むと、あの子達は目を輝かせて「はい！それはもうピカピカにしてきます！」と頷いた。
…あの子は元気が取得でいい子なのだけれど、勢いがありすぎて引かれないかしら…
不安になりながら待っていると、侍女が綺麗になった少女を連れてくる。その子の体はふるふると震えていて、どこかぎこちない様子でした。
「あらあら、こんなに緊張して…。大丈夫よ、ここにいる人達はアナタの味方ですから」
まずは彼女を安心してからでしょう。そう思い告げると、虚ろな瞳でこちらを見上げてきました。
ですが特に何も言わず、じっとこちらを見るのみ。
「あぁ…そういえば、名前をお聞きしませんでしたね。私の名前はミコト。アナタは？」
「……伊織です」
「イオリ……いい名前ね」
よかった、答えてくれたわ…。ほっと胸を下ろし、心の中で何度もその名を唱えてみる。
イオリ…白夜の言葉に近い響きですが、どこか違うと思うような何かがありますわね。そう、雰囲気というか、根本的に違うような…
「あの……ここで働かせてもらえませんか？」
違和感の意味を探そうと思考の海へ旅たつ前に、彼女の声で戻される。
…そうね、今はお話中だもの。この事はまた今度考えましょう。それはそうと、ここで働きたい…？
「力仕事は出来ませんが、雑用はできます。お茶も入れられますし、あ、美味しいかはわからないけど…でも、上手くなるよう努力します。ですから、捨てないでください……！」
ぐっと頭を下げてお願いする様に動揺する。
そもそも、彼女の預り先が決まるまでは、ここにいてもらう予定でした。まだ幼い子供に労働は強いられません。
そう答えようとしたら、ぽた、ぽた、と水の音。
彼女の床が少しずつ湿り、泣いているのだとわかります。
…これは仮説ですが、この子は親に虐げられていたのではないでしょうか。だから、幼い頃からそれを普通だと思っており、労働をしなければいけないと思っている。
これならこんなにも体がボロボロだったのと、子供なのに大人のような、責任感のある発言をする辻褄があいます。
なら、余計に働かせないほうがいいのでは？
…いえ、それでは逆に辛いのではないでしょうか。ずっとやってきた「当たり前」を出来ないのなら、それはかなりの精神負荷になる。
適度にやることを与えて、そして子供らしく楽しく過ごさせる。
それが、正解の道だと…そう思ったのです。
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津田刑部(プロフ) - siinaさん» そう言ってもらえて嬉しいです！気が向いた時にちょこちょこ更新しているので、他の小説を読んでいる時にたまにふらっと来たら続きがあったりするかもですね。コメントありがとうございます！ (2018年7月15日 20時) (
レス) id: 8429db5f79 (このIDを非表示/違反報告)
siina(プロフ) - 続き見たいなあー… (2018年7月9日 18時) (レス) id: 33a818f932 (このIDを非表示/違反報告)
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