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Side BLUE
「聞いた？」
「あぁ、北斗？」
「うん、そう。どうしたのかな？」
楽屋に入るなり、
台本を読んでいた慎太郎が首を傾げた。
「今は？」
「ソロショット行ってる」
「入り時間、俺らの3時間前だもんな」
北斗だけは映画の番宣のために、全員での連載のページと別ページでソロショットがある。
先に入って撮影していたのは知っていたが、昨日のことも、こないだの事もあるし、心配だ。
「ちょっとぐらい調整してもらえばいいのに」
「アイツ真面目だからな」
「けどさ〜
それで体壊してパフォーマンスのクオリティが落ちても意味無いでしょ」
慎太郎は少し苛ついた表情。
優しさゆえの、気遣い屋ゆえの、やつ。
「ちょっとやそっとの体調不良じゃ、クオリティが落ちねぇのが厄介なんだよ。
演技力ばっか上手くなって、隠すの得意になっちゃったからさ。
無理ばっかしやがって…」
俺も皆も、心当たりが全く無くて、
北斗の体ももちろん心配だけど、心の方も心配。
「北斗さんソロショット終わったんで、衣装替えのあと、スタンバイお願いします！」
楽屋で各々過ごしていたらスタッフさんに呼ばれた。
「……俺、ちょっと声掛けてくるわ」
「あ、俺も行くわ」
慎太郎がすぐ立ち上がったので俺も続いた。
三人も心配そうだったけど、人数いっぱいいても話さないだろうからな。
「ほくとぉ、おはよーっ」
「ハッ！慎太郎の声デカっ、笑
…おはよ、着替えねぇの？」
明らかに俺らに用意されたものとはテイストの違う服装のまま、モニターをチェックしている北斗。
俺達のことを振り向きもしない。
「……ごめんなさい、
顔、疲れちゃってますよね」
「そ？疲れてこんなにイケメンなら羨ましいねぇ。
まぁ全員での撮影は明るめに頼むね、今日は」
オジサンカメラマンさんが笑う横で、北斗は少し、顔を歪ませた。
確かにモニターに映る北斗はどことなく覇気が無い。
もちろんそれも味があるんだけど。
「おぉ、どしたどしたー？反省会は後ね。
着替えておいでよ。皆待ってるよ」
明るい声色の慎太郎が、北斗の肩を揉む仕草をすると、くすぐったそうに少しだけ笑った。
とん、とんとん、と数歩、足を踏み出した北斗。
「……北斗？…っ、北斗！」
次の瞬間、テーブルに手を付いて、そのまま座り込んでしまった。
グッとテーブルの脚に抱きつくようにして顔を歪めている。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2021年2月8日 14時
