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Side BLACK
一度、寝室を出て、スポーツドリンクをコップに注ぐ。
洗面器に水と氷を入れて、タオルを濡らす。
氷枕もあったからタオルを巻いて、再び寝室に。
「………慎太郎、これ飲んで。」
「北斗、……分かんない」
ゆっくり顔を上げた慎太郎の目から涙が落ちる。
「ん？」
「薬、飲んだか分かんない……はぁっ、」
「ぅん、……そか、……あとで確認しよう？
今は落ち着いて、深呼吸して？」
汗で色の変わったTシャツ。
湿った背中を擦りながら、半ば強引にドリンクを飲ませる。
「ほら、これで体拭いたら気持ちいいよ」
服を脱がせて、洗面器からタオルを取り出し、絞って渡す。
自分のやっている行動のすべてが、
まるで自分じゃない人がやってるみたいな
非現実的なことに思えた。
「……北斗さん、
ここに慎太郎さんの着替えとカードキー置いておきます。
樹さんがもうすぐ仕事終わるそうなので迎えに行って、また戻ります。
ちょっと遠いので時間かかりますけど……」
「わかった、ありがと」
だぁくんは、
「勝手に入ってごめんなさい。無事でよかった」
そう慎太郎に声をかけて、名残惜しそうに部屋を出ていった。
「………しんたろ？大丈夫だよ、」
「…ごめ、んね。…北斗、仕事してたよね」
「うーん。でも、もう今日は終わったから。」
「……今日、俺、びょーいんの日だった？」
「…うん。……そうだね」
“ みんな心配してたよ ” その言葉は飲み込んだ。
泣いている慎太郎はグズグズ鼻をすすり、脱水も心配だから、何度かドリンクを飲ませた。
いつから取り替えていないか分からないベッドのシーツや枕カバーも替えて、洗濯機に放り込む。
「あ、あれ。」
寝室に戻るといなくて、慌ててキョロキョロ他の部屋を見渡す。
「……慎太郎、どうした？」
冷房のきいていないリビングで慎太郎は薬箱を抱えて突っ立っていた。
「…くすり、……俺、薬、飲んだ？」
「………っ、」
＿＿＿＿＿泣くな、泣くな。俺。
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2021年2月8日 14時
