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Side PINK
「北斗、…ほくと、顔上げて。」
皆でお弁当を食べていると、下を向いたまま会話に入ってこない北斗。
ジェシーが見兼ねて、北斗の顔を覗き込む。
「具合い、悪いの？」
高地が聞く。確かにお弁当は全然減ってない。
北斗は首を横に振る。
「席、変えてもらえるか、お願いしにいこうよ」
樹がそう提案した。
席替えの時点で担任の先生から、北斗の周囲の席の人は協力するように。とお願いはしてくれていたものの、実際はあぁだし、俺も頷いた。
「ちぁぅの、…
おえが、うあく、はなへなぃから、
(違うの。俺がうまく話せないから)」
北斗は少し目を潤ませている。
「俺の気持ち悪い喋り方のせいで、気味悪がられてるように感じる。」
と、そう話した。
「…サポートの仕方が分からないってことも、あると思う。
北斗は唇で大体分かるってこと知ってもらって…
俺達と話すときは北斗の楽な方法でいいと思うけど、
北斗が話し方にコンプレックスがあるなら、他の奴らには筆談だって良いじゃん」
高地が身振り手振りで話す。
「そうだね。
俺も正直、最初はどうしたらいいか戸惑ったし！
あと、ページ数ぐらい、先生たちに黒板に書いてもらえるように頼もうよ、」
「喋るときは背中向けないでくれ！ってのもね」
慎太郎も樹もそう言ってくれた。
北斗は3人の顔をみて泣きだしてしまった。
「えっ、あ、ごめん。分かんなかった？
ちょっと待って」
高地がスマホを取り出す。
その手を北斗は握りしめて、首を横に振った。
「……あははっ、泣くなよ〜」
声も上げないまま、北斗はポロポロ泣いて、
俺を含む皆はそれを見て笑っていた。
「弁当、食べないんだったら俺食べちゃうよー？」
「ぅぅ、…たべあす」
「うん！昼休み終わっちゃうよ。
先生のとこ行かなきゃいけないのに」
「…ぁりがと、ね」
慎太郎と樹が頷く。
北斗は高地の手を話して、再び箸を持った。
「…可愛いな、北斗。犬みたい」
「あはは、怒られちゃうよ」
俺が言うと、ジェシーが笑う。
北斗はなぜジェシーが笑ったのか分からなかったみたいで、俺を見たけど、俺は「早く食べろよ」とだけ伝えた。
Fin
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年9月3日 21時
