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Side GREEN
スリッパを脱いで靴下で廊下を走って追いかける。
「北斗、ちょっと待って。授業中だよ」
「もうやだぁ！みんなうるさいっ！」
階段に腰掛けて、頭を抱えてポロポロ泣いている。
不安というより怒りの感情が溢れ出たみたいなそんな感じ。
「今日は人がいっぱいいたから、しんどかったねぇ」
これまでも幾度か教室でイライラで癇癪を起こしかけたみたいだけど、それでも教室を飛び出るなんてことは先生からも聞いたことがない。
「ゆっくり深呼吸してごらん」
ぎゅ、と抱きしめて、落ち着くのを待つ。
ただそうすることしかできないけど、
「北斗のペースで良いからね」と声をかける。
「ほく、…上手くできないよ、
…みんなみたいに、一緒にできないっ、」
「そっかぁ、…悔しいよなぁ。
でも、それでいいんだよ？
ぜーんぶ皆に合わせる必要なんてない。
北斗には北斗にしかできないことがあるよ？」
グシャグシャになった髪を整えてやりながら、笑いかける。
「…北斗が小学校に上がってたくさんできることが増えてパパすっごく嬉しいもん。
だけど…これから北斗が大きくなっていくと、もっともっと沢山大変なことが有るから、少しずつ少しずつ、北斗に合った対策を考えようね。
だーいじょーぶ。
俺は北斗の味方だから、困ったときは絶対助けるからね」
耳栓だって、たったそれだけのことで、
随分変わったじゃない？そういうもんだから。
チャイムの音がなり、北斗はハッと立ち上がる。
「……北斗、先生にごめんなさいする」
「うん、そうだね。
偉いなぁ、ちゃんとごめんなさい出来るもんな。
…でも、まだ教室には他のみんなのお母さんたちもいるし、みんなが帰ってからにしようね」
北斗はコクリと頷いた。
「あ、そーだ！パパこっちきて！」
すっかりご機嫌が戻ったらしい北斗。
階段を降りて、1階の廊下へ。
北斗が窓を開けると、中庭に有る花々が現れた。
「これを見せたかったの。」
「ふふ、ありがとう、北斗」
ご満悦の様子の北斗。
また来た道を戻ろうとすると、続々と親子が帰っていく。
シュッシュッというスリッパの音に気付いた北斗はまた不機嫌な顔をしたけれど、
「北斗ね、我慢できるよ」
とギュッと手を握ってきた。
「よし、教室戻ろうか」
他の子たちと比べることじゃないのかも知れないけど、うちの子が一番可愛いな、なんて親バカかな。
先生に謝りに行くってのに、俺はそんなことを考えていた。
Fin
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作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年9月3日 21時
