BLACK TrackONE【4】 (ページ36)

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Side GREEN

だけど今日はいつも通りじゃないことが1つ。
北斗の初めての授業参観なんだ。

「行ってらっしゃい！気を付けてね。
午後はパパ必ず見に行くから」

「はーい！行ってきます！」

通学の間は危ないから耳栓は取ってるけど、
それでも毎日自分で学校に行けるし、ほんとに他の子と何ら変わりない。

憧れてた授業参観。やっとかぁ。楽しみだなぁ
なんてワクワクしながら、滅多にない平日休みを家事に明け暮れた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「お、いたいた」

お母さん率に圧倒されながら教室の後ろの方で北斗背中を見つける。
でも振り返ってくれない。
耳栓つけてるし、俺が来たの気付かなかったかな。寂しいぞ～

＿＿＿＿＿ガシャン！！

と、音がなって、そちらを見ると、どうやら北斗の後ろの席の生徒が筆箱を落としたみたいだった。

「んんぅ、……」

「うわぁ…笑」

バッと振り返った北斗は嫌悪感でいっぱいの顔。
北斗の目の前に落ちているのに、拾ってもあげない。
俺は思わず苦笑いしてしまう。

「北斗くん、近くにあるんだからひろってー」

「……落とさないように、気を付けてよね、」

明らかにイライラした口調でペンをやっと拾い上げる。

まだ授業始まってもないのに、雲行きが怪しい。

給食だけは無理を言って保健室で食べさせてもらっている北斗。
だけど他の授業は皆と一緒に受けてる。
特に今日は授業参観で保護者もいるから、色んな音が溢れていて、北斗も余裕が無いんだろう。

頑張れ、ほっくん…

保護者が履いたスリッパの足音がシュッシュッとなるたび、俺も苦い顔をしてしまう。

北斗はぐぅ、と唇を噛んでいた。
不機嫌ですオーラ全開だなぁ笑

「…じゃあこれがわかる人～？」

先生の問いかけに、バッ！！と生徒たちが手を上げる。
「はいはいはい！」と元気よく答える子供たち。
それを見守る保護者たちのクスクス笑う声。

「北斗……」

グシャグシャ…と今朝整えた髪を鷲掴みにして耐える北斗。隠していた耳栓があらわになる。

その瞬間、バッ！と立ち上がって走り出し、北斗は教室を飛び出してしまった。

「あっ、ほく、……すみません！」

先生や他の保護者たちに謝って俺も廊下に出た。