BLACK TrackONE【4】 (ページ27)

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Side GREEN

「お客さんが来たらこっちね。使い捨ての。
普段はエコでマグカップを使ってるから、シンタローも被らない色のを買っておいで」

「分かりました。
どれにしようかな～～っ」

まだどれが美味しいか分かんないからいろいろ試してみよう。
俺は3種類のマグカップと使い捨ての紙カップを並べた。

……よく見ると、オフィスの至るところにシールが貼ってある。
特に同じものが複数ある場合なんかはこの色分けが必ずしてある。
あとは共通で使えるもの……
例えばハサミとかホッチキスなんかは決まった場所に置くようになってるみたいだけど、収納場所にはそのモノのイラストのシール。

名前書いときゃいいのに。
学生時代インターンシップで行った別の会社は白黒で殺風景なオフィスだったから、少し違和感を感じる。
でも、この方が俺には合ってるな。

俺は上機嫌でボタンを押した。

「じゃあ先に買いもんでも行くか、笑
会社用のスマホ、忘れずにな」

「えっ、あ、はい！」

コーヒーを飲みながらパソコンのセットアップをしていると樹さんが。慌てて追いかけた。

「俺、これがいいです」

緑のマグカップに決めると、
緑のシールも買うように言われる。

「どうしてあんなにシールだらけなんです？
可愛らしくて俺は好きですけど、男ばっかの職場には似合わないような、笑」

「あぁ…その前に会計しちゃおう。
今日は昼飯は経費で出していいって言われてるから、食事しながら話すわ。

会社のスマホにQRコード決済アプリ設定してあると思うから、経費使うときは基本それで。
マグカップとかも全部それで払ってこい。
領収書も貰ってこいよ」

「あ！はい！ありがとうございます」

樹さんに言われたとおりにして、
買い物袋を持ってファミレスに入った。

「領収書は日付がわかるところに自分の色のペンで○をつけて、北斗に渡して。
あとは全部北斗がやってくれるから。」

「なるほど…」

「…さっきの、質問の答えだけど。」

樹さんはコーラを口に含んで、深呼吸したあとに口を開く。

「北斗、学習障害を持ってるんだ。
読み書きが苦手で、絵や色を使って補ってる。
本当は算数も専らダメなんだけど、Excelの計算で補ってる。
コピペするだけの簡単なデータ入力なら問題ないんだけど、自分で計算方法を考えるのが苦手なんだ。」

「えっ、…全然そんなふうには…」

俺は戸惑ってすぐには返事が出来なかった。