BLACK TrackONE【4】 (ページ15)

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Side BLACK

「ほく、しんごう青になったよ！」

「ありがとう！たぁくん！」

手を上げて、横断歩道を渡るたぁくん。
その横を、傘を高く上に伸ばして歩いた。

その少しあと。

たぁくんのいる右側を向いて歩いていたら、

ゴンッ！
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ！

と音が鳴ってびっくりした。

「ちゃんと前見ろ！
晴れた日に傘なんてさしてるからだろっ…」

「傘がひっかかっちゃった！ごめんなさい…」

自転車に乗っていたおじさんにぶつかって、
おじさんが止まっていた自転車を何台も倒していた。
傘をたたんで謝ると、おじさんは怒った顔になった。

「…お前らが悪いんだからもとに戻せよ～
んだよ…気色悪いな………」

そう言って、どこかに行ってしまったおじさん。

「ドミノあそびみたい！」

たぁくんは、笑った。

「はぁっ、……はぁ、
…たぁくん、ちょっと、ほく、つかれちゃった」

「もうちょっとだよ」

太陽がカンカンと僕らを見下ろしている。
二人でランドセルを置いて、自転車を起こす。
大人の人たちは、こんなに大きな自転車に乗ってるの？大変だなぁ。

「君たち、大丈夫？全く酷い目にあったね…
……ほっくん、傘、気を付けるんだよ。
学校に遅刻しちゃうから、もう行きなさい。」

警察官のお兄さんたち2人が来てくれた。
手伝ってくれるんだって。

いつもパパと交番の前を歩くときは、ご挨拶してるから、お兄さんたち、僕を覚えてたみたい。

「ふぅ、…あついね、」

「ほくと、大丈夫？ちこくしちゃうよ」

「うぅ、まって………」

体があつくて、しんどい。
頭がボーッとしちゃう。

「あともう少しだから、保健室にいこう！」

いたい。手がヒリヒリして、あつい。
太陽にずっと、当たってたから。
パパに日傘しなさいって言われてたけど、
自転車戻すのには傘が邪魔だったから……

「うぅ、……ん、ｸﾞｽｯ」

「ほく、なかないで、」

赤い僕の手をたぁくんがギュッと握ってくれた。

「せんせぇ！ほくとが太陽にあたっちゃったの！」

「そう、…良かった無事で。ありがとう。
……どうしたの？こけちゃった？怪我してない?」

保健室に入ると、たぁくんの体を見た。
服が汚れているのをパッパッと叩いた。

「ほくちゃん、水道水で冷やそう」

いつも長袖だから、上に着ていたパーカーを脱いで、手のひらと甲のところを水に当てる。

「やぁ、痛いっ、」

ヒリヒリがもっと強くなった。