BLACK TrackONE【4】 (ページ13)

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Side BLACK

2日前から始めた前処置は思うよりもしんどくて、抗がん剤治療で吐き気が止まらないし顔は浮腫む。
これをあと2日続けて、終わり3日で放射線治療。
吐き気止めの薬入れてもらってるのに…
あと5日耐えて移植。

「実は熱があるらしくて。
移植のこともあるし、いま診察してもらって、点滴打ってもらってるとこなんだ」

「えっ？……」

「大丈夫。知恵熱だって。感染症じゃないから、
…移植は問題ないけど、やっぱり気持ちは追いついてないんだと思う。」

苦しくて苦しくて、やるせなくて、
こんな気持ちは初めてだ。
俺のせいで、樹が、苦しんでる。

「……はぁっ、……っ、」

伝えたい思いはたくさんあったけど、
気持ち悪くて、クラクラして、
…呼吸をするので精一杯だった。

もう消灯時間は過ぎているのに、具合が悪くてあまり寝れない。
点滴の痕だって痛いし、昼間とは比べ物にならないほど高熱があることは測らなくても分かった。
シャワーは今日浴びれなかったし、ご飯はもちろん食べれなかった。

「……じゅり、………はぁ、樹？…」

手に握ったスマホから思わず通話ボタンを押してしまっていた。

『北斗？…どうしたの？』

「…樹っ、……あぁ、…っ、……どうしたんだろ」

ジワァと涙が溢れて、何度か鼻をすすった。

「俺、…樹に負担ばっかかけて、……ｸﾞｽｯ
父さんにも、…無理させて、…っ、
1年間頑張ってきた勉強も…意味なくなっちゃって」

出てこなかったはずの言葉がスラスラと出てくる。

『ううん。……心配かけたの…俺だよな。
………っ、俺も、すっごい、不安なんだよ…
俺も、北斗と同じ。…不安なの。
だけどそれは、北斗のせいじゃないよ。

…これからどうなるか怖いけど、…
この辛さから逃げたら、駄目なときだよ今は
これに立ち向かって、…それでもだめだったらそのときは逃げ出そうぜ。
一緒に闘うんだから、逃げるときも一緒だ』

樹の声に安心して、また涙が止まらなくなった。

「……樹なら、…大丈夫。俺も一緒だから。」

樹の不安は分かってたのに、
余裕がなくて、気にかけてやれなかった。
だから、やっと言えた。

「頑張れ、樹。……頑張って、」

そして、

『ったく～～、せっかく熱下がったのに、また上がるだろ～泣かせるなよ～』

樹はもっと泣いていた。

Fin

長くなってしまい申し訳ありませんでした( ; ; )