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Side BLUE


心電図をつけて貰いながら考えた。
俺が健康診断でひっかかったら…北斗はどうなるんだろう。
だって北斗もある日突然病気になったわけだし。



「樹くんの健康状態に問題はありませんでした」


そんな恐怖とは裏腹、ジェシー先生の言葉は優しかった。
父さんは、俺の隣でそっと胸を降ろした。


「北斗くん、昨日からの高熱でかなり体力を奪われてます。精神的にもまだ移植に対する不安が大きいようなので、お伝えしてません。」


「…僕らからきちんと話してみます」


父さんが複数形で言ったことに驚いた。









「………北斗、大丈夫か?分かる?」

マスクをして病室に行くと、北斗の顔はやけに赤く感じた。
それは北斗もマスクをしているからなのかも。


「…父さん………はぁ、…仕事、終わった?」


「うん。年納め終了しました。笑」


「………今年はツリーを出す暇もなかったね」



北斗は、掠れた声で笑って、ぐったりまた目を閉じる。



ここまでしんどそうなのは初めてで、戸惑った俺は、ただただその光景を見ているだけだった。

父さんは年末で仕事も忙しい中、北斗の学校に行ってたり、お金のこともあったからか、色々と動き回っていた。
俺は北斗に任せてばかりだった家事もろくにできないで、手伝いと言えたかも分からないけど、そんなことをしていた。

唯一の救いは学校が半日で終わることだった。
コンビニ弁当を北斗の病室で食べて帰る。
北斗の入院生活に必要なものがあれば買って、翌日持っていく。

それが日課になっていたが、本当はしんどいときもあったんじゃないだろうかと、心配になった。



「……北斗、…勉強してたのか」

北斗の着替えを棚に入れようとしたとき、締まりかけていた引き出しから、筆記用具が乱雑に入れられていたのが見えた。
まるで慌てて隠したみたいな、几帳面な北斗の引き出しとは思えなかった。



「…もう、…こんなんじゃ間に合わないね…」

ぼんやりと天井を見つめる北斗。


「樹の検査結果出たってさ。移植、出来るよ」

父さんは北斗の目を真っ直ぐ見つめていた。



「樹……ごめん、」

「ばーか。謝ることじゃねぇよ。」


最初から俺は受験に本気なんて出してねぇから。
と、言いかけてやめた。

本気で向き合っていた人に、その機会を奪われた人には、言えなかった。





移植の日は1ヶ月後の俺の受験が終わった翌日からに決まった。

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作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年9月3日 21時

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