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Side RED
「どうせなら中でお買い物だけでもして帰らない?」
大我の提案で、チケットの払い戻しはせずにエントランスへ。
昨日はランドで、今日はシーのチケットだったこともあって、入り口だけでも雰囲気を味わいたいから、俺も賛成した。
「ちょっと、北斗しんどそうだから座ってるね。
樹、大我の言うこと聞くんだよ」
大我にお金だけ渡して、
エントランスの地球儀の周囲に北斗を抱いて座った。
暫くするとみんながやってくる。
「ほくと!
これ、ほいくえんのかばんにつけよ!」
慎太郎がチップとデールのキーホルダーの、チップなのかデールなのか、とにかく片方を北斗にくれた。
「ちょこちっぷ、だよ!
おはながくろいからチップ!」
慎太郎は北斗にチップをくれたらしい。
北斗もしんどそうながら小さく「ありがと、」と呟いた。
「樹たちは何買ったの?」
「北斗がげんきになったら、
いっしょにたべるの、」
お菓子を優吾と2人でいくつか買ったらしい。
樹がお菓子なんて、珍しい。
北斗は食べることが好きだけど、樹はそうじゃないのに、優しい子だな。
「優吾もありがとね」
北斗はうつらうつらとし始めたから代わりにお礼を言う。
パフパフッと音がする。
ゴミの清掃員の人がクラクションのような音を鳴らしている。
樹も優吾も慎太郎も、
そして不機嫌そうな北斗もそちらを向いた。
清掃員のキャストさんは、
ほうきを水溜りにちょんちょん、と付けると、
それを筆のようにして、
「Ahaha、すごいね。ほくちゃん見える?」
地面にミッキーの絵を書いた。
明らかに北斗に見えるように、俺達の前に。
それから、「また きてね」という文字まで。
「うん、……お兄ちゃん、ありがとう」
北斗は少し赤い顔で告げた。
キャストさんはニコリと微笑んで、またパフパフと音を鳴らしながらいなくなっていく。
……どことなく、…いや、気のせいか。
「さぁ、帰ろっか。」
アトラクションに乗れなくたって、
夢の国は必ずそこにある。
Fin
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作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年9月3日 21時