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Side YELLOW


「北斗ぉ〜そろそろ泣きやまないと苦しいぞ?」


ご機嫌だったお散歩から一転。
抱っこ紐を外すと病室にギャーギャーと泣き声が響く。個室でよかった…


「…もう眠いのかな?」

「えー、今から検査だよ、北斗?」


苦笑いで顔を拭いてやる。








「病変部位はこの黒くなっている部分ですね。
肺の上部分、上葉と呼ばれる部分です。」


何とか検査を受けてくれた北斗。
そのまま泣きつかれて寝てくれたから
慎太郎にお任せして、
俺は樹先生に説明を受けていた。



撮りたてのCTの画像は、
素人目でもわかるぐらい病変部分が目立つ。

この肺にできた悪い組織が呼吸障害だったり肺炎の原因になって北斗を苦しませてきたわけだ。




「この位置だと…
手術は正直言って、難易度の高いものになります。

反回神経と言って喉周りの筋肉にも影響する神経に下手に触れてしまうと、この神経が麻痺をして、声がかすれたり…
酷い場合だとご飯を飲み込む力に影響が出てしまいます。

それから…心臓が近く、
心臓からの血液が通る大動脈も傍にあります。

リスクがあるということを含んでおいてください。」


「……正常な肺の発育状況を見て、もう少しもう少しって北斗が大きくなるのを待ってから手術をするって。
樹先生が頑張ってくれて…やっとですね。
どうぞ、よろしくお願いします。」


俺が頭を下げると、樹先生は優しく微笑んだ。





病室に戻り寝顔を見ながら寝泊まりの準備をする。
この病院では小さい子どもは親も同伴で入院。
北斗ももう数回目になるから俺もう慣れっこだ。


「んぅー!やぁ…っ」

「あはは 起きちゃったか。ごめんな、笑」


手首に巻かれたネームが嫌みたいで引っ張っている寝起きのご機嫌ナナメさんを抱き上げる。
こればっかりは慣れてくれないんだよなぁ。


「北斗、おはよう〜
慎ちゃんまた明日の朝来るからね。
泣かないでいい子にしてろよ〜」


ポンポンと頭を撫でる慎太郎。


「ばいばーいって。
ほら、北斗、バイバイしないの?」

「うぅ〜、グズッ」


泣きべそも可愛いんだけどさ。笑


「母さんたちの迎え、よろしくな。」

「はいはーい。じゃあまた明日!」


慎太郎が病室から出ていくのを寂しそうに見つめる北斗。


「…明日はもっと色々付けられるだろうけど大丈夫かな…笑笑」


最近お気に入りのウェットティッシュケースを開け閉めさせて遊ばせたらやっとネームのことは忘れてくれたみたいだ。

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作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年9月3日 21時

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